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ニコンのソフトフォーカス ふわっとソフト90mm f4.8に可変絞りを装着  Nikon soft focus lens “ Soft 90mm f4.8” with variable aperture.

ふわっとソフト90mm f4.8
真面目なニコンが発売した唯一のトイレンズ、「おもしろレンズ工房」セット販売の一本。
ソフトフォーカスは、球面収差を補正しないことで得られる。このレンズは極めてシンプルな1群2枚構成。

フォーカスカムのある外鏡胴に、フォーカスリング/レンズユニットのある内鏡胴を固定する構造。これをマウントアダプターを介してミラーレスカメラに装着している。

絞りはレンズの前。絞ると球面収差が減るので、ソフトフォーカス効果がコントロールできる。ところが「ふわっとソフト90」はf4.8の固定絞りだけで、可変絞りは無い。

絞り値を変更するには、紙を切って貼り付けるのが推奨されているが、ソフトフォーカス調整用なので、被写体に合わせて可変させたい。でも、絞りを入れて操作するスペースは狭い。


改造計画

このレンズはいろいろ変更できるモジュール構造で、レンズユニット取付位置を、内鏡胴の前側にすれば絞り位置にスペースができる。

絞りはターレット式の可変絞りを自作。

レンズ位置を変更すると、外鏡胴のフォーカスカムは無限遠がでなくなる。無限遠がでるように短くした外鏡胴を自作、ヘリコイド中間リングと組み合わせる。

オリジナルより短い外鏡胴と絞り部は3Dプリンターで製作。

3Dプリンターで自作した絞りは、開放f4.8 f5.6  f8  f11 の4段階。ベアリングによるクリックで気持ちよく回転操作できる。
もともと長かった全長も、短くなって使いやすくなった。


開放 f4.8 フレアは多め

f5.6 半分絞ると落ち着いた描写

f8 フォーカス部はシャープに、ハイライトは微妙に滲む。
バランスの取れた好きな描写。

f11 さらにシャープになって、通常のレンズに近くなった。

開放f4.8で撮影。ハイライトがにじむので、暗くなると光源がいい感じになる。





夜景はフレアが楽しい。




ポートレイトはソフトフォーカスの定番だが…
肌が白くにじむので、被写体の女性には喜ばれるのでしょう。
残念ながら、私好みの写真スタイルではないので、あまりはまらない…。

前ボケはフレアのある2線ボケで、塗りつぶされた絵画のようだ。


f5.6に絞っている。開放f4.8だと大げさなので、少し絞ったほうが好き。


もう一つのソフトフォーカスの定番は「花」
記憶の中の印象みたいなノスタルジーが感じられるのがおもしろい。

ソフトフォーカスレンズの特徴は、ハイライトが滲むこと。
光源が滲む夜景や、花がきれいに写る。
今回は花と夜ばかり撮っていました。
それ以外のものだと、どうしてもソフトフォーカス描写がはまらない…

滲むとニュアンスも出て遊べるのだけど、どうもわざとらしい感じがして、少し絞ったほうが使いやすい。今回レンズ改造をしてf5.6、f8は特に効果があったとおもう。






 

ニコンの本気、ミニマムレンズ構成の実験: ニコンおもしろレンズ工房/ Nikon Fun Fun LensSet : The experimentation of minimal lenses configurations by Nikon.



ぐぐっとマクロ macro 120mm f4.5

ふわっとソフト soft 90mm f4.8

(ぎょぎょっと Fish-eye type 20mm f8 についてはこちら)

ぐぐっとマクロ/ふわっとソフトは、1995年発売されたニコンのトイレンズ「おもしろレンズ工房」のひとつである。時代はバブル崩壊後の経済低迷期。そのためこのような、気軽に買いやすい企画が実現できたのだろう。


このレンズはモジュール構造が特徴。フォーカス調整カムのある外鏡胴と、レンズと内鏡胴がモジュールになっていて、組み換えることでマクロとソフト、2種類のレンズになる。


テレフォト2群3枚構成の「マクロ120mm」と、その前玉だけ裏返しで使う1群2枚の「ソフト90mm」、さらにバックフォーカスを伸ばしてさらに寄れるようにする工夫もできて楽しい。

ぐぐっとマクロ macro 120mm f4.5


ぐぐっとマクロ 120mm f4.5

まずはマクロ120mmにして撮影してみよう。
ぐぐっとマクロ macro 120mm f4.5
うーむ。2群3枚構成なのに、遠景からよく写る。

さすがにデジタルでは色収差がでる。紫と緑のフリンジがでている。


フォーカスは単純なカム。コストのかかる長大なヘリコイドは使われていない。
スムーズさは足りなく、速すぎて、精密に合わせにくい。



ぐぐっとマクロ macro 120mm f4.5



さすがマクロ。近距離の描写がよい。しかし、ボケはざわつくときがある。



マクロの120mmは、遠景から良く写る。ミニマムな2群3枚構成レンズなこともあって拡大するとアラが見えるが、総じて抜けの良い気持ちの良い絵になる。

クローズアップも良く写るが、開放f4.5では被写界深度は浅い。撮影していて、もう少し絞りたいことが多かった。



ふわっとソフト 90mm f4.8
モジュールを分解、後ろ玉を外し、前玉を前後逆に装着すれば、「ふわっとソフト90mm f4.8になる。レンズ構成は1群2枚だ。



ハイライトにフレアーが取り巻く、ドリーミーな描写。ソフトレンズだ。ちょっとソフトすぎる気がするので、もう少し絞りたい。


ふわっとソフト soft 90mm f4.8


ふわっとソフト soft 90mm f4.8

点光源を写すと、ふわっとフレアーの実際がわかる。芯のある円形のフレアがくっきりと見える。本格的な?ソフトフォーカスレンズはわからないが、描写はホルガ(ガラスレンズ)の絞りを開いたものに似ている気がする。

90mm中望遠は、お散歩スナップに使いやすい。でもソフトフォーカス効果は個性的。

面白すぎなところもあり、撮影の時は絞りで調整したくなる。




感じたのは、ニコンはトイレンズと言いながら、写りは本気のところだ。

開発ストーリー(https://nij.nikon.com/enjoy/life/historynikkor/0052/index.html) を読むと、3群3枚トリプレット構成よりもシンプルにすることを目標にしている。トリプレットならば写真レンズの基本形なので無難にまとめられるが、それよりもシンプルというと工夫が必要になる。ニコンは本気でこのミニマム構成レンズを開発している。そして、ものづくりでは、その本気の工夫が面白いのだ。


でも、大事なことは、ものづくりの面白さが、ユーザーの面白さにつながるかである。

今回楽しく撮影できたが、カメラがミラーレスデジタルだったことが大きい。マニュアルフォーカスで固定絞りでも、フォーカスアシストや自動感度調整によって使いにくくならない。

このような簡易レンズは、現在こそ必要な気がする。

とはいえ絵作りという視点では、絞りでコントロールができないのは面白くない。レンズがよいだけになんとかして絞りをつけてみたい。












TAMRON vs SIGMA 90mm MACRO ちょっと古い中望遠マクロ ライバル対決 / A rivalry between slightly older medium telephoto macro lenses.

 伝説のタムロンとそれに対抗したシグマの90mmマクロを比較する。


カメラレンズの大手、シグマとタムロンは大手カメラメーカー互換のレンズを売るビジネスのライバルである。タムロンは高倍率ズームが得意で、OEMも多い。そしてこの90mmマクロの「タムキュー」が看板商品。初代は1979年発売の52B型で、マクロでありながら一般撮影もこなせる描写力でブランド化した。この52系はマイナーチェンジをしながら1996年まで続き、72系に更新した。その後2013年のフルチェンジで現在に続いている。

私の持っている「タムキュー」TAMRON 90mm f2.5は1990年製の52E型。初代52Bでも人気があって高価だが、初期AF用の52Eは、現在AF対応するカメラがなく、マニュアルフォーカスリングも狭いので人気がない。だから最も安く手に入る。それでいて光学性能は定評ある52系なので問題はない。

ライバルのシグマはカメラも作る総合メーカーであることが特徴。デジタルになってからは独自のセンサーを軸に個性的なブランドになったが、それ以前は特徴を出すのに苦労していたと思う。今回のテーマはタムロンの「タムキュー」に勝負を挑んだ1988年製のSIGMA 90㎜ f2.8MACRO である。

タムロンは一般撮影が得意なポートレイトマクロというジャンルを作った。それにはレンズの明るさも重要でf2.5となっている。それに対してf2.8のシグマはコンパクトさが売り。大きさは圧倒的に小さく、マクロとは思えない。

歴史では、モデルが継続するタムロンの勝ちだったと思うが、現代のデジタルカメラならばどちらが楽しくとれるだろうか?


右側、f2.8のシグマはコンパクトなだけでなく、334gと軽い。距離表示や余計なグラフィックを消したため精悍な印象になった。

左側、タムロンはf2.5と1/3絞り明るく、405gと重くなっている。鏡胴はプラスチックだが造りは良い。モダンデザインだった初代52Bほど個性がないのは残念。AFレンズでフォーカスリングは先端の細いところになる。見た目ほど回しにくくはないが、妙に軽くギアノイズが気持ち悪い。また下に向けると自重で伸びてしまう欠点もある。さてどちらが楽しめるか撮りくらべてみよう。


まずはTAMRON90㎜ f2.5から


比較するSIGMA90mm f2.8
シグマの欠点は色収差だ。紫と緑のフリンジが少し出ている。少しなので気になるシーンは少なかったけど。

TAMRON90㎜ f2.5


SIGMA90mm f2.8


TAMRON90㎜ f2.5


sigma90mm f2.8


TAMRON90㎜ f2.5
これは、手ぶれしてますね。

sigma90mm f2.8
すべて開放。ボケはSIGMAのほうがきれいな感じがするが、TAMRONのf2.5、1/3絞り明るい分大きくボケて、その差はけっこうある。
コントラストはシグマのほうがあり、タムロンは優しい描写だ。


TAMRON90㎜、f4に絞って撮ってみる。9枚の円形絞りで、ボケの形は丸い。


SIGMA これもf4にしぼって。シグマは6枚絞りで、ボケが6角形になってしまう。


TAMRON90㎜ f2.5 開放


sigma90mm f2.8 開放



どちらもよいレンズです。ボケ質はシグマのほうが良いかな、とも思いましたが、タムロンのほうがf値が明るく大きくボケること、円形絞りであるなど、ボケを重視するならタムロンのほうが良いです。

描写はシグマのほうがコントラストがあり、立体感のある写りです。タムロンはコントラストが少し低い分優しく、色がきれいに出ます。

操作性はMFレンズのシグマがちゃんとしたフォーカスリングを持っていますが、回転角に対してフォーカス移動が速すぎて、離れた被写体は苦労します。
AFレンズでマニュアルフォーカスするタムロンは、細いリングですが回転角も速すぎないのでマニュアルで使えます。しかしAFのために軽すぎでありギアを回す感じは気持ちよくありません。

どちらが良いレンズか、と聞かれればタムロンと答えるでしょう。ではどちらが好きか、というとシグマです。立体感のある描写は好きですし、何よりも圧倒的にコンパクトです。シグマの欠点は色収差で、被写体によってはフリンジが少しでます。これはコンパクト化した弊害なのでしょう。6枚絞りの6角形のボケは、場合によっては致命的な欠点かもしれません。その時は開放で撮るとしましょう。
















SIGMA 90mm f2.8 MACRO :エルノスター構成をもつコンパクトなマクロレンズ。A compact macro lens with Ernostar configuration.

 オールドレンズで明るい中望遠マクロといえば、「タムキュー」ことタムロン90mm (1979年に登場し、現在まで改良し続けられいる) が定番だ。今回のテーマは、それに対抗してつくられた中望遠マクロレンズ、1988年に発売されたSIGMA 90mm f2.8である。

この時期のシグマレンズは、鏡胴の塗装が加水分解して、ベッタベタになることが多い。触ると手が黒くベタつく最低な汚れで、レンズはジャンクとなってしまい、安く買える。前回の経験から、無水アルコールでベトつきは落とせる上に、余計なグラフィックを消すことでカッコよくできると考え、ベタベタジャンクを安く購入した。

まずは大きさ比較。左のタムキュー:TAMRON90mm f2.5との比較。右のSIGMA 90mm f2.8はマクロレンズとしては異例に小さく、一般レンズみたいだ。

マクロといえば長大なヘリコイドのために大きくて重い鏡胴になるが、レンズ構成を工夫することでレンズ全長も繰り出し量も小さくしている。


カタログからトレースしたレンズ構成図(不正確)。

濃い色の前半部がフォーカスで繰り出される部分で、エルノスター構成になっている。後半部は固定されたテレコンバーターというレンズ構成。テレコンバーターで拡大することで、レンズ繰り出し量を小さくできる。さらに前半部のエルノスター構成はレンズ全長が短くなる特徴があり、それらによってレンズ全体が極めてコンパクトになっている。

エルノスターは明るい中望遠レンズに向いた構成だ。4群4枚の構成が通常だが、このレンズでは5枚目に凸レンズを追加している。前後レンズのパワーバランスをとることで撮影距離の変動に強くしているのだろうか。



分解してテレコンバーター部分を外してみると、エルノスター構成の前半部は焦点距離60㎜くらい。口径比もf2くらいで明るい。

後半部のテレコンで、1.5倍に拡大していることになる。それにより異例に短い繰り出し量(17㎜)で1/2倍のハーフマクロを実現している。

エルノスターのマクロは珍しく、しかもとてもコンパクトなので興味が出てきた。約1.5倍のテレコン構成では収差も1.5倍になってしまうが、描写はどうなのだろうか。



まずは表面のベタベタ。これをアルコールでキレイにする。


べたつくペイントを距離表示ごと落としていく。前回の18㎜の時は無限遠マークだけ残したが、使ってみると回転方向が分からない。今回は距離表示を少しだけ残すようにした。シンプルなデザインになって好印象。さあ、実際に撮ってみよう。



まずは開放。近距離だと大きくボケる。ボケのきれいさでは、定評あるタムキューに負けていない気がする。描写は柔らかく、フォーカス面はごく浅くて難しい。


f5.6に絞る。写真としてはこのくらい絞ったほうが自然だ。6枚絞りの形がでてしまうのが気になる。ボケはスムーズなのに残念な欠点だ。



開放。前後どちらもきれいなボケ、コントラストが強くヌケの良さがある。フォーカス面は開放からシャープだ。
紫のフリンジがでている。後ろのボケには緑のフリンジが確認できる。気になるかどうか。

f4。一つ絞ってみる。





シャープで高コントラスト。綺麗なボケ。いい感じです。









コンパクトで気軽に使えて、写りはシャープで高コントラスト。ボケもきれいでいい感じに撮れる。エルノスター構成によるシグマの力作マクロ。よいレンズだとおもいました。

しかし、ライバルのタムロン90㎜マクロがモデルチェンジして進化していくのに対して、このシグマ90㎜マクロは、モデルチェンジせずに消え去りました。ライバルとの戦いは敗れたということでしょう。この次は、この2つを直接比較してみましょう。