FUJICA ST-F(1979年発売)は最もユニークなカメラの一つだと思う。
一眼レフなのだが、レンズ交換できず、その絞りとシャッターは、一眼レフのミラーと一体になって、極めて独創的に動く構造になっている。
デザインはコンパクトカメラをそのまま一眼レフ化したように見えるが、独創的なメカニズムにより、構造もコンパクトカメラ並みにシンプルなのだ。
設計製造はSEDIC。柔軟なエンジニアリングに優れたメーカーで、1972年にコダックが110フィルムによるポケットカメラを発表すると、いち早く対応カメラを開発した。110フィルムポケットカメラはSEDICの強みとなり、FUJICA (FUJIFILM)やHANIMEXブランドのOEM、キャラクター企画ものなどのカメラを、柔軟なエンジニアリングで数多く産み出した。
SEDICは110フィルムを使った初代「写ルンです」(1986年) のOEM設計製造もおこなったようだ。初代「写ルンです」は大ヒットしたが、そのヒットが逆にOEMをやめること、富士フィルム本体が設計製造することになってしまったらしい。それによって、モデルチェンジのタイミングで在庫/設備を抱えて倒産したようだ。
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このFUFICA ST-Fは1979年の発売。SEDICの優れた設計の結果、長い期間一定の需要があり、数多くの別ブランドの兄弟を生み出した。レンズは40mm f2.8。3群4枚構成のテッサータイプである。一眼レフなので長いバックフォーカスが必要だが、長すぎると本体が大きくなる。SEDICは安価なコンパクトカメラの開発が多く、テッサータイプのレンズを得意としていた。(明るいガウスタイプのレンズは製造しなかったようだ)
構成でいえばビハインド絞り/シャッターで、独立した絞り機構はない。絞り操作リングはあるが露出調整用で、キモとなる、絞り・シャッター・ミラー統合機構につながっている。フォーカス時にも絞り位置は変わらないから近距離に弱く、せっかく一眼レフにしながら最短撮影距離もコンパクトカメラ同様に1mもある。
ファインダーは高級だが、できることはコンパクトカメラと変わらず、ざんねんなカメラでもあった。
このFUFICA ST–Fの40mmレンズ、SEDIC得意のテッサー・レンズをデジカメ用に改造する。レンズは3群4枚構成、一体化されてユニットになっている。
今回は、一度改造したモノの再改造である。以前改造したレンズは写りは良かったが、絞り固定だったので、操作できるようにしたかった。
フォーカスは最短撮影距離を短くするために、m42マウントのヘリコイドリングを使っている。絞りはこのm42マウント内に収まるように配置する。
マウント内に、絞り大小が切り替えられるように製作した(3Dプリント)絞りは開放f2.8に対して、1/3絞ってf3.2と、f5.6。
絞りプレートが退避するスペースがわずかに足らなかったため、1/3絞って、退避に必要な エリアを小さくした。2段階の絞りはレバーで操作する。
レンズユニットは、調整した結果オリジナルよりも前に出ている。フォーカスはヘリコイドアダプター(13-22mm+Eマウントアダプター1mm)で行い、最短撮影距離は30㎝くらい。
さあ、撮影!
絞りを開ければ(f3.2)ボケはきれい。
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