ペトリのレンズはとてもよく写る。
私の持っているのは55㎜と135㎜で、よく写る。それなのにとても安く流通している。
理由①
中古価格は供給量で決まる。1960年代、安価なペトリはよく売れたため、豊富に供給されている。
理由②
ペトリのブランドイメージが国産最低ライン。60~70年代にかけて生産品質が低く「安かろう悪かろう」イメージがついてしまった。日本製の高品質なイメージは、残念ながらペトリにはない。
理由③
見た目がかっこ悪い。デザインがシャビ―なのである。shabbyというのは古みすぼらしくてダサー、みたいな意味で、アメリカ人がデザインを評価するときによく使っていた。(ところが最近はレトロっぽくて素敵💛という意味もあっておもしろい)
残念ながらペトリのデザインは、シャビーで素敵ではない。
私が持っているペトリマウントの Petri C.C auto 55mm f1.8 も仕上げデザインが悪く、持っていてワクワクしない。残念なデザインである。
この55㎜ f1.8は大きく分けて旧型(1963年発売)と新型(1967年)がある(新型初期にトリウムガラスを使った仕様があるらしいがレアなモデルなのでここではスルーする)
新型は旧型に対して画質を向上させたということなので、新型を使えばいいと思っていた。だけど見てみると旧型はシルバーボディがあり、新型よりは見た目はよさそうだ。旧型も安く流通しているので、手に入れて比較した。
旧型のデザインは新型よりはいいが、シルバーのクオリティが低いのが残念。レンズは前玉が旧型のほうが大きく、後玉は新型が大きい。同じ4群6枚のダブルガウス構成だが、レンズは更新されている。写りの違いはどうなのだろうか。
上が旧型で下が新型。中央の描写には大きな差がないが、隅では新型はかなり良くなっている。(右端の拡大)
平面を撮ると、さすが新型が圧倒的によい。では普通に撮ったらどうだろうか。
ボケは旧型の方が良さそう。旧型の方がボケ自体が大きく、周辺まで崩れにくい。新型のほうが周辺の口径食があり、ボケの形に影響している。
開放で遠景だとシャープさは低下する。隅の描写は新型が優れる。
比較するとやはり上の旧型は隅がアウトフォーカスになっている。像面がフラットでは無いようだ。どちらも光源の周りにはコマフレアがでて滲ませている。
結論としては、遠景やフォーカス部分の描写を重視するのならば新型が良い。ペトリの特徴的なボケの味を楽しむならば旧型だ。
安くてよく写るペトリなのだが、もう一つ人気のない理由がある。デジタルにつけるためのマウントアダプターがない。
デジタル(ミラーレス)カメラにつけるにはマウントアダプターを作る必要がある。私は2つの方法で作った。
1つ目は、コニカARマウントアダプターを流用する方法だ。マウント部はジャンクカメラから外して使う。幸いペトリカメラはシャッター不調のジャンクは豊富にある。コニカマウントはフランジバックが短いので、マウントの上からペトリマウントをとめるとフランジバックがだいたい合う。
1.マウントに凸部があり、干渉部分を削り落とした。
2.コニカマウント面にM2のネジを切って、ペトリのマウントをボルト留めした。
ペトリカメラのマウントの厚みの差はわからないが、FTのマウントを使うと0.5mmほどオーバーインフになる。そのくらいの精度なので、ベースのコニカマウントアダプターは安価なもので充分である。
工作には、リューターとねじ切タップがあったほうが楽。
2つ目は M42ヘリコイド中間リングを使う方法。ペトリレンズの欠点はあまり寄れないことなので、ヘリコイドを使うと寄れてよい。撮影時に調整できるのでフランジバックの調整をいい加減にしても問題ない。
レンズ側から、カメラから外したマウント、スペーサーを介してM42マウント。
M42ヘリコイド中間リング13‐22mm、薄型M42マウントアダプターで、SONY a7に装着する。
スペーサーを介してペトリマウントとM42マウントを固定するところが難問。「M42×ピッチ1mm」 から52/55mmへのステップアップリングを購入すると作りやすい。ただし、購入先はアリエクくらいしかないのが悩むところ。私は3Dプリンターで制作した。
オールドレンズの面白さは、工作も楽しさのうちだと思っているが、どうでしょうか。
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