110フィルムカメラは1972年に生まれた規格で、薄いボディが実現できることから、ポケットカメラの愛称をもつ。1970年代に各メーカーから展開され、35mmカメラの小型高機能化によって80年代に商品価値を失った。35mmのちょうど1/4の13mm×17mmのフイルム面積で、実用になるミニマムサイズだった。最初のカメラに向いた手ごろな価格で、私の初めて買ってもらったカメラもそうだった。
This was my first camera.
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kodak_pocket_Instamatic_20_(6)_(8245533936).jpg
買ってもらったのはコダック Pocket Instamatic20で、固定焦点固定露出。屋外の記念撮影には使えるが、屋内、近くのもの、動いているものはシャープに写らなくてつまらないカメラだった。電気的なフラッシュはまだなくて、化学的な発光器を使っていたのが懐かしい。
さてこの110ポケットカメラ、フイルムの平面性が悪く、大きく引き伸ばせる性能もない。でもフィルムサイズがデジタルのマイクロ43と同じで、改造することでレンズが活用できそうだ。今まで気にしなかった分野なので、再発掘して見ることにした。調べてみるとすべてが「ダメ」カメラなわけではなく、良いレンズを持っていそうな高性能機もある。メジャーなものならば、現在はどれもタダ同然でオークションに出ている。
一眼レフ(SLR cameras)
PENTAX Auto110(1,2型)レンズ交換のできるシステムカメラ 広角の少ない110カメラでは貴重な18mmがある。
マイクロフォーサーズによる18mm、24mm、50mmの作例。
APSデジタルによる18mm、24mm、50mm、70mmの作例。 50mm気に入っています
MINOLTA ZOOM SLR (1型は25-50mmのズーム、2型は25-67mmズーム固定式。改造してマイクロ43に装着しました)
こうして比べてみると大きさが全然ちがう。ミニマムカメラを目指したペンタックスに対して、ミノルタは高倍率ズームと高機能をそこそこの大きさに収めるコンセプト。レンジファインダー(Rangefinder cameras)
Kodak pocket INSTAMATIC60 : コダックの高性能ブランドEKTARレンズ(26mm f2.7)がついた高級機。レンジファインダーの切れも良い。撮影してみて、レンズの写りはさすがEKTARです。
CANON 110ED : 26mm f2.0の大口径レンズがポイント。撮影してみましたが、このレンズも高性能です。
Vivitar 742XL : 24mm f1.9の大口径レンズのついた高機能高性能機。実機を見たことはない。アメリカのメーカーだが、日本製。
MINOX 110S : 25mm f2.8
Pocket FUJICA 600: 25mm f2.8
目測式フォーカス
Kodak EKTRAMAX : 26mm f1.9のついた、高機能カメラ。でもフォーカスは目測式。プラスチック非球面レンズ。
MINIMAX 110EE : 32mm f2 クラシックカメラ・デザイン、菅谷光学製。目測式。
HANIMEX VXL : 25mm f1.9 目測式。オーストラリアではなく日本製。HANIMEXやFUJIの110カメラの多くは、日本のセディックが製造していたようだ。
Pocket FUJICA FLASH : 20mm f4 このレンズを付けた機種は多く、高機能ではないが、広角20mmが珍しい。110はフイルムの小ささからくる画質の悪さをカバーするため、長めのレンズがついているものが多い。
Rollei A110(E110):23mm f2.8 とてもコンパクトで素晴らしいデザイン。装着されているテッサーレンズの評価も高い。
(E110のレンズをCマウント化、マイクロフォーサーズとAPSデジタルで撮影してみました)
Agfamatic 6008 makro pocket sensor (1977) : 26mm f2.7
Optima 6000 pocket sensor (1975) : 26mm f2.7
Ricohmatic 110X Deluxe : 25mm f2.8 当時ベストセラーだったリコーオートハーフとレンズのスペックが似ている。
さて、これらの110カメラの「高性能レンズ」はどうなのだろうか。デジタルカメラではどのように写るのか。少しずつ見ていきたいと思う。
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