ROLLEI ローライE110 / A110 はツァイス レンズを搭載した超小型の高級機
Rolleiの110フィルムを使うポケットカメラ、A110は1975年に発売された。超小型で(当時のフィルムの箱よりも小さかったらしい)高品質なアルミボディ、伸縮させるギミックで縮めるとカプセル状になる。素晴らしいデザインとツァイスレンズの描写力で話題になった小さな高級機だ。
同じ110フィルムカメラの比較。CANON 110EDも特別大きいわけではなく、ROLLEIが特に小さい。翌1976年には、低価格版の E110が発売された。自動露出がプログラムから絞り優先に簡略化されている。レンズは同じツァイス設計の正統派テッサー23mm f2.8。デザインも全く同じであるが、内部構造は多少違うかもしれない。
高級機なので、分解してレンズを取るのは慎んでいたのだが、E110のジャンクが手に入った。外観劣化していて「ボディが伸縮しない」不調なので、デザイン置物としても価値がない。と、判断して分解してみた。
レンズは ローライ製、ツァイス設計の3群4枚、正統派テッサー。23mm f2.8(換算45mmになる。) レンズ構成は光学資料からトレース。
当時最新の高屈折低分散ランタンガラスが使用されているとのことだが、分解してみるとレンズが黄変している。放射線はあまりでてないようなので、酸化トリウムレンズではなさそうだ。
カメラが小さかったからレンズも小さい。小指の先くらい。絞りはレンズ後ろにビハインド配置。コンパクトカメラでは一般的なレイアウトだが、フィルム前の空間が小さい110ポケットカメラでは珍しい。独特な構造で巧みにレイアウトしている。(一般的な110ポケットカメラでは、レンズの前に絞りをレイアウトすることが多い)
分解したレンズにフォーカス/絞りをつけてCマウント化する
絞りもフォーカスも独特な構造なので、転用するのは難しそうだ。
110フィルムカメラはマイクロフォーサーズと画像サイズが同等なので、マイクロフォーサーズと一回り大きなAPS、両方で試したい。今回の改造ではCマウント化してCマウントアダプターでデジタルカメラに装着することにした。
小さなCマウント内に、ターレット絞りと共に収まるようにレイアウト。鏡胴は3Dプリンターで、小さいので、ちまちまと作る。
f2.8 もともとの最短撮影距離(1m)よりも大幅に近くまで(およそ0.25m) よって撮影。近距離では、ボケがグルグルしやすいようだ。
APSデジタルカメラで撮影
Cマウントアダプターで、APSデジタルに装着する。ひとまわり大きなフォーマットではどう写るか。
すごく小さな豆レンズですが、中心から中間域はとてもシャープに写ります。描写に、質感のある色気を感じるのは、さすがツァイス設計のテッサーというところでしょうか。
テッサーというレンズ形式は焦点距離に比べて全長が短くできる特徴がありますが、デジタルに重要なテレセントリック性はかなり悪いレンズ形式です。そんなこともあり、私の機材とのデジタル相性はあまりよくないようで、周辺減光が発生します。一回りフォーマットの大きなAPSデジタルでも撮影はできますが、さらに強烈に周辺減光します。
周辺減光しますが、その割に色かぶりや像の流れは少ないので、ポジティブに考えると楽しめます。
ツァイスレンズの描写には色気が感じられるので、うまくいけば被写体が暗い背景から浮かび上がり、楽しく撮影できました。
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