1975年発売のCANON110Eと110EDは、キヤノン初の110フィルムカメラだ。そしてそのスペックは、コダックのインスタマチックの高級機50と60に影響されている。CANON110Eは26mmf2.7のレンズがついているがその中途半端なレンズの明るさまでインスタマチック50と全く同じスペックである。上級の110EDはレンジファインダー付きのインスタマチック60がターゲット。こちらは同じスペックに追加してf2.0の明るいレンズを搭載して差を付けた。これで価格はコダックに比べて1万円以上安かったのだからコダックに対する競争力は十分だと考えたのだろう。
しかし70年代後半になると、画質に有利な35mmフィルム・コンパクトカメラの小型高性能化がすすみ、110フィルム自体の競争力がなくなってきてしまう。CANON110ED20にマイナーチェンジをした後は後継機もなく、キヤノン110フィルムカメラは終了することになる。
今回はそんなちょっと不純な企画から生まれたCANON 110EDのf2大口径レンズを改造して、デジタルカメラにつけてその写りがどうだったのか見てみる。
分解して、レンズユニットを外してみると、フォーカス用のヘリコイドはそのまま使うのは難しい構造だ。ヘリコイドアダプターを使用してフォーカシングすることにしする。
絞りは、もともとレンズ前につくレイアウトだった。焦点距離が短くバックフォーカスのスペースがちいさな110フィルムカメラは、絞りがレンズの前側にくるように設計することが多いようだ。前絞りはテレセントリック性が良くなる(センサーの描写が安定する)ので改造にはウェルカムである。工作もしやすいので、で絞り付きの鏡胴をデザインして、3Dプリントした。
110フィルムとサイズがおなじマイクロ43のミラーレスカメラ(パナソニックGM1)につけて、写りを見てみる。
絞りは開放f2に対して、f6.7とf2.8 レバーを動かすと絞りが出てきます。f2.8はボケで遊べるようにギザギザ絞りにしてみました。
ちなみに35mmフルサイズで撮ってみると
やはり110サイズ(=マイクロ43)分のイメージサークルしかありません。
遠景、近景ともに、画面の隅まできれいな発色で写って素晴らしい。4群5枚のレンズ構成でキヤノンの力作だとおもう。
現在はフィルムが少ないこともあって、あまり注目のされない110ポケットカメラですが、良いレンズありますね。
こちらに、ポケットカメラ(110フィルムカメラ)の高性能高級機についてまとめました。
0 件のコメント:
コメントを投稿