小さな110フィルムの名機ペンタックス オート110。その交換レンズのなかで、中望遠の50mm f2.8はかなり気に入っているレンズだ。
とてもコンパクトなサイズで、レンズ構成は5群5枚のクセノタータイプ。
通常はレンズ構成の中心に絞りをレイアウトするが、小さなペンタックス オート110では、システムの簡略化のために、シャッター兼用の絞りが後ろのカメラ内に設定されていた。
光束は、後ろ絞りだとレンズ前方に向かって広がるので、前群は大きなレンズが必要になる。構成図をみると、前群は厚みもあるレンズで、なんだかよく写りそうだ。
今回もマウントアダプターによるデジタル撮影。110フィルムよりも、画像サイズが一回り大きなAPSデジタルで撮影する。
レンズのイメージサークルは大きく、APSをしっかりカバーしている。自作したマウントアダプターは、開放f2.8のほかにf5.6の絞りをつけた。(アダプターについて)
ビハインド絞りの影響で、絞ると周辺が減光する。
最短撮影距離は0.9mと、遠いので、近距離ヘリコイド付きのアダプターが使いやすい。最短撮影距離より寄っても、描写は良いようだ。
花はペンタックスらしい鮮やかな発色。背景はバブルボケで、2線ボケ。気をつけないとうるさくなる。
背景は2線ボケだが、前景ボケはスムーズだ。
球面収差が過剰補正のレンズ特性で、その分描写はシャープになる。
本来の110フィルムでは100mm相当になる中望遠レンズですが、ひとまわり大きなAPSデジタルでも75mm相当として使えるイメージサークルがあります。
お散歩スナップにはこのくらいが使いやすい。
装着にはマウントアダプターを使います。ただし絞りが無く開放による撮影になること、望遠レンズでは最短撮影距離が遠いという欠点があります。
私は、絞りf5.6切り替え、近接ヘリコイド内臓のマウントアダプターを自作して対応しています。(詳しくこちら)
色鮮やかでシャープな描写が気持ちの良いレンズです。
明るいレンズの多い50mmですが、開放でf2.8。けっして明るくないレンズですが、被写体に寄れれば、背景を大きくぼかすことができます。
ボケは個性的です。ボケのエッジが強調されて、点光源はシャボンのようなバブルボケになります。いわゆる2線ボケになりやすく、撮影では背景に気を使いました。
ボケはざわつきやすいですが、フォーカスの合った被写体はシャープに浮き上がるので、欠点というより個性かな、と思います。そんな描写を活かして使いこなしたいレンズでした。
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