110フィルム は、小さな映画用16mmフィルムをベースに開発され、巻取りまで一体のカートリッジになっている。
フィルムに半分カメラが付いているようなものだから、110フィルムカメラの構造は簡単だ。簡単だからメーカーが参入しやすいが、製品の特徴が弱いと価格競争になって利益が得にくくもなる。
セディック はそんな110フィルム用カメラを得意としたメーカーだ。小回りのきく設計を活かして、さまざまなトイカメラや、相手先にあわせてデザインしたOEM生産を得意にしていた。
調べてみると、コダックが初めて110フィルムを発明・販売した1972年には110カメラを発売してる。
https://sts.kahaku.go.jp/sts/detail.php?no=103310371322&c=&y1=&y2=&id=&pref=&city=&org=&word=&p=655
OEM先はHANIMEXとフジフィルムが多く、同じ基本設計のカメラが結構ある。35mmフィルムになるが独創アイデア満載の簡易一眼レフFUJICA ST-Fもその一つだ。
1980年代になると35mmフィルムカメラの自動化小型化が進んで、110カメラは競争力がなくなってくる。
残された「簡単な構造」を武器にして、1986年にはカメラ付きフィルム「写ルンです」がヒット。初代モデルは110フィルム使用でこれもセディックが開発したようだ。
http://oboegaki-no-oboegaki.blogspot.com/2020/05/blog-post.html
ところがニーズがあると分かったところで「写ルンです」はすぐにフジフイルム内製にシフト、翌1987年には写りの良い35mmフィルム化した。
結局、「写ルンです」の新型が出るまでが最後の110フィルムのヒットカメラで、その後ニーズは無くなってしまう。このタイミングでセディックは倒産してしまったようである。
今回の POCKET FUJICA AW は1979年製。
セディックのOEM製品だ。
レンズは少し広角の20mm。たぶん同じ中身のセディック版では20.5mmとなっていて、35mmフィルム換算で準標準41mmくらいである。
カートリッジ・フィルムなので、フィルム室を遮光設計する必要がない。簡単なつくりだ。
FUJINON 20mm f4
3群4枚のテッサータイプ。今回は以前改造したモノのリニューアルを行う。以前のものは鏡胴設計に欠点があって壊れてしまったのだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿