CANON AF35ML : すっきり鮮やかな大口径レンズ、だけどデジタル相性が悪い。A crisp, vibrant large-aperture lens—but it doesn't work well with digital cameras.





 

カメラのフォーカスが自動化したのは、1977年。コニカC35AFがアメリカのハネウェル社の技術を使って実用化したのが世界初。ピンボケ写真が無くなることは魅力で、ベストセラーになった。各社もハネウェル技術をつかって追従した。

キヤノンは独自のオートフォーカス技術にこだわり、1979年に赤外線アクティブ方式の「オートボーイ」AF35Mを発売してベストセラーを奪回した。

そしてその2年後1981年、キヤノンは上位機種「オートボーイ スーパー」AF35MLを発売した。

もともと高価なAF搭載カメラのさらに高価な上位機種で、ニーズは多くなかったが、ねらいはオートフォーカス技術の開発にあったと思う。

確実だけどラフな赤外線アクティブ方式の「オートボーイ」に対して、高精度な測定のできるCCDパッシブ方式を採用した。これもキヤノンの独自技術で、精度を活かすために大口径レンズを積んだ高級仕様にしたのだろう。しかし、実際にはフォーカスが外れることが多く、評判は良くなかった、、、


高級コンパクトカメラ「オートボーイ スーパー」AF35MLは大ヒットにはならなかったが、中古は多く、そこそこ売れたのだろう。大口径レンズという孤高のスペックにライバルはおらず、ロングセラーにもなった。

レンズ構成はこんな感じである。絞りがレンズ後部にくるビハインド絞りながら、対照型のクセノター構成だ。



この構成を見て思うことがあった。クセノターでf1.9の明るさ、キヤノンの名機、初代キヤノネットと同じなのだ。

初代キヤノネットは自動露出のパイオニアだった。「オートボーイ スーパー」AF35MLは自動フォーカスのパイオニアだ。偉大な先祖へのオマージュ的な意味もあるのだろうか。

左が1981年の「オートボーイ スーパー」 右が1961年の「キヤノネット」である。

1961年に発売されたキヤノネット(初代)のレンズ構成。同じくクセノターである。明るくするためだろう、厚みのあるレンズを使用していた。20年間の技術進化?で同じ明るさながらレンズは薄くなり、軽くなった。この大口径クセノターは、一般的なガウス構成よりもレンズが1枚少なく、コストダウンになるキヤノンの得意技だ。



1981年のオートフォーカス、高級コンパクトカメラのパイオニアになった

「キヤノン オートボーイスーパー」CANON AF35MLを、交換レンズに改造する

ビハインドシャッターのオートフォーカスなので、5枚レンズ一体のユニットになっている。

40mmの大口径レンズは、バックフォーカスも短い。レンズ後ろ側のわずかなスペースにフォーカスと絞り装置を収める必要があるが、レンズ口径が大きく、私の改造では多用するターレット絞りが成り立たない。


以前このレンズを改造したときは、あきらめて固定絞りにした。でも、せっかくの大口径を活かすには可変絞りにしたい。では、どうするか。

困ったら、斜め上の解決方法を思いついてしまった。

3Dプリンターで、歯車メカを作ってみよう。
遊星歯車に絞り羽をつけて、絞りが可変する構造を考えてみた。
5枚絞りならば、開放にしても鏡胴の太さに納まるし、絞ることもできる。3Dプリンターによる絞り羽は、厚いので重ねられないが、開放ー星形ー五角形の3段階に絞られるように調整した。絞りメカは薄くできるので、マウントの間にフォーカスヘリコイドを配置する。
フォーカスは簡単な回転フォーカスで、これも3Dプリンターで製作した。

これで可変絞りとフォーカスを両立できたけど、なかなかの工作だった。

絞りの表示は 〇☆8 にしたが実際は、f1.9‐f2.8 - f4.8 くらいだ。

絞りf1.9 開放 
画像隅は像面湾曲がある。フィルムの作例では感じられないので、デジタル相性が悪いのだろう。

絞りf4.8 絞るときりっとシャープである。

開放f1.9 でも中心はシャープだが色収差で鎖が色づいた。












きれいに写る良いレンズです。すっきり鮮やか。

もっとも私の好みでいえば、もっとガツンと濃くて、現実感が感じられる描写のレンズが好きですが…


残念なのはデジタル相性が悪く、画面隅の像面湾曲が起きていること。

使っているソニーはセンサーカバーフィルターが分厚いので、その影響が原因でしょう。ニコンみたいに薄いセンサーカバーだったら気にならないかもしれない。(そろそろほしいなあ)






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キヤノネット初代の幻想的なグルグルボケ CANON CANONET 45mm f1.9 A lens for the first-generation “Canonet,” characterized by its dreamlike, swirling bokeh

 1961年、キヤノンのコンパクトカメラ普及機、キヤノネットが発売された。

高級機メーカーのキヤノンが製造し、当時先端の自動露出、明るいf1.9レンズという高機能スペックでありながら、他メーカーのf2.8レンズ機種よりも安い¥18,800-という価格だった。

高級機メーカーによる価格破壊は、キヤノネット・ショックと呼ばれた。これ以降カメラは趣味性よりも価格競争になり、低価格に対応できないメーカーは淘汰された。


そんな初代キヤノネットは、価格がセンセーショナルだったが、カメラ自体もユニークなつくりになっている。

セレン光電池の微弱な発電量で自動露出を実現するため、シャッターストロークで絞りをコントロールする。結果、長くて重いシャッターボタンになっている。

上面はフラットでシンプルデザイン。フィルム巻き上げ関係は底面にレイアウト、フィルムも通常の逆向きで右から左に送る。ボディ上側には、距離計付きファインダーと自動露出のためのメカが配置されるため、上下逆にした合理的なレイアウトなのだろう。操作性は悪くないが、カメラ保護に一般的だったカメラケースが成り立たない。


明るいf1.9のレンズもユニークだ。通常このクラスは、レンズ6枚によるガウス構成が一般的だが、1枚少ない5枚構成。コストダウンしたレンズがどのように写るのか興味がでてきた。

キヤノネットは社会現象になるくらい売れたカメラなので中古もジャンクも多い。中古ジャンクボックスで購入。このレンズをソニーa用の交換レンズに改造する。

合理的なカメラ構造で分解もしやすい。貼り革を剥がしてレンズボードごとレンズを外す。

レンズボード後ろから後部レンズユニットを外してから、ヘリコイドユニットを外す。

前から分解してシャッターの開放化と清掃。レンズのカビ取り。レンズ構成を見るとこんな感じだ。

4群5枚クセノター構成で、かなり頑張ったf1.9の明るさを持つ。どんな写りになるだろうか。

3dプリンターでパーツを作り、フォーカス用のM42ヘリコイド中間リングと組みあわせて交換レンズにする。



a7用の標準レンズができた。さあ、いつものお散歩撮影。

中距離なら開放でもそこそこシャープ。色収差は少しあるけど軽い。


開放f1.9で撮影。近距離になるとボケがグルグルする。
改造レンズは0.4mくらいまで寄れる。元々の最短撮影距離は0.8mなので設計値より寄っている。



開放、ボケは暴れやすいが、同時にフワッとして、幻想的な世界観になる。


これは開放f1.9とf5.6
開放だとフワッとした描写。絞るとぐっとシャープになる。雰囲気が大きく変わり、まるっきり違う写真になる。










絞れば、シャープな描写で鮮やかに写る。キヤノンらしい鮮やかな綺麗な描写。


一世を風靡した初代キヤノネットのレンズは、f1.9の明るさで 通常よりも1枚少ない 5枚構成レンズが特徴です。
1枚少ないコストダウンの描写ですが、通常時はあまり影響なく、よく写ります。
絞り開放で近距離で撮ると、グルグルと暴れながらフワッとボケて、幻想的な描写になります。これは面白い。

描写はキヤノンらしく色鮮やかです。その分(?)立体感は少なめですので、暴れるボケをうまく活用して被写体を背景から浮き立たせるのが、「撮影のキモになる」と考えながら撮影しました。

キヤノネットはシャッター優先の自動露出でしたので、絞り開放で撮ることは少なく、フィルムで撮れば「グルグルボケ」は気にならなかったでしょう。レンズ改造してデジカメで撮影、絞り開放を多用して初めて目立った特徴です。
昔は欠点だったことが、結果の見えるミラーレスなら面白い個性になるというのも興味深いポイントでした。












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Tokina RMC 500mm f8 (TM500) レフレックスレンズ、トキナーとタムロン Reflex Lenses: Tokina and Tamron




1980年代に反射鏡を使ったレフレックスレンズが流行した。超望遠ながら超小型軽量で価格も手頃だった。その一方、レンズ構成の柔軟性に欠点があった。絞り、ズームレンズ化、オートフォーカスといったニーズに対して、レフレックスレンズは充分な対応ができずに、1990年代には売れなくなった。

 当時は数多く売れたので、現在では中古品(持病のカビの生えたジャンク品)が多く流通している。いろいろ難しいけど、小型軽量で超望遠スナップを可能にしてくれる面白いレンズだ。


Tokina RMC 500mm F8  (TM500) 

1980年発売のレフレックスレンズ。重さは500gちょっとで小型軽量。画期的に小型軽量だったTAMRON SP 500mm f8(1979年発売)よりも、さらに小型軽量。なかなかすごい設計だ。どうやってさらに小型軽量にすることができたのか。




TOKINA RMC 500mm f8       


タムロンとトキナー、レンズ構成はすこし似ている。

まず外観から分かることがある。トキナーはレンズ口径が小さいのだ。同じf8なのにタムロン(写真左)のレンズ口径76mmに対してトキナー(右)は口径70mmしかない。

インチキかっていうと、これが単純ではない。レフレックスレンズのfの表記は口径比ではなく、レンズ中央にある副鏡のロスを除いた実効値になっている。タムロンの口径比はおよそf6.6  これで実効f8なのだろう。それに対して口径70mmのトキナーは、f7.14くらいだがもう一つ裏技を使っていて、トキナーの方が少し実焦点距離が短い(スペックの誤差は5%まで許容されている)。タムロンに対して98%くらいなので、口径比f7になる。

実写比較すると微妙に短くて暗いが、気になるほどでは無い。



今回、購入したトキナーは、カビの生えたジャンクだった。レフレックスレンズには持病があって、内部空間にカビが生えやすい。

カビの除去は、カニ目リングで固定された前玉を外すのが最大のミッションになる。レンズに近く、キズつけやすいのだ。同様にカビ玉だったタムロンは「テーブル用の脚ゴム」で回せたが、トキナーは緩み留めしてあって回らない。これを安全に回すのが難問だ。


困った時は工具を作る。

専用カニ目回しを作る。DIYでちょうどよい直径70mmくらいの円柱を探す。

塩ビ水道管に小穴を開けて、クリップの針金でカニ目回しにする。円筒が上手く収まり、安定して作業できた。

カビはアルコールで除去。気分よく撮影だ。


超望遠でストリートスナップ。目が500mmに慣れていないので、なかなか被写体が見つからない。ボケがうるさくなるならないように、背景に気をつかう。


やはりトリやすいのは鳥だな。












トリ撮りスナップが楽しい。

タムロンとの比較でいうと、
・トキナーのほうが小型軽量だけど、差は大きくない。
・タムロンのほうがシャープで解像もする。比較するとトキナーはシャープさは少し落ちて、ピーキングがでにくい。背景からの浮き上がりも弱い。
私のタムロンはバルサムが切れかかっているのに、それでもタムロンのほうが描写する。
タムロンのほうが良いレンズかな。

でも、レフレックスレンズの強みは、なによりも小型軽量なことだ。だからその強みにこだわったトキナーの戦略は間違えていない。
1980年代のブームが去った後、ほぼ絶滅したレフレックスレンズだが、トキナーはまだ生きている。なんと、さらに小型軽量化されて現代でも後継機が発売されているのだ。