クセノターの流行った時 Ricoh 500 deluxe / RIKENON 4.5cm f2.4 : The lens when the Xenotar configuration was in vogue

 



Ricoh 500 deluxe 1958年製

レンズは日東光学製RIKENON 4.5cm f2.4

リコー公式サイトは3群5枚構成となっているが、実際に分解してみると4群5枚クセノター構成である。




クセノター構成はガウスタイプを簡略化したような4群5枚構成だ。3群4枚のテッサー、4群6枚のガウスの間になるが、性能は中間ではない。中口径でまとめるとガウス以上の解像力を発揮する。画面全体が均一で極めて高解像というのが特徴だ。


そんなクセノター構成のレンズは1950年代後半にちょっとした流行があった。

クセノター構成のオリジナルは、第二次世界大戦後すぐ、東ドイツ東ベルリンのツァイス・イエナのビオメターである。

1952年当時、画期的な高性能を持ち、西ドイツ西ベルリンのローライレフレックス用に作られたが、東西冷戦下の貿易が問題になって少量しか生産されなかった。レンズが不足したローライレフレックス用に、西ドイツのシュナイダー製、ビオメターと同じレンズ構成のクセノターが作られた。

このクセノターが衝撃を持って評価された。画面全体での高い解像力は、従来のレンズに比べて、とても大きな性能差があった。その衝撃からこのレンズ構成は(オリジナルはビオメターだけど)クセノターといわれるようになった。

そして1950年代半ばから 日本でちょっとしたクセノターの流行が始まる。


Ricoh 500 deluxe / RIKENON 4.5cm f2.4 




クセノターは、ガウスタイプのような明るい大口径は得意ではないが、高解像中口径レンズである。ウィキペディアによるとクセノターが高性能なのはF2.8までのようだが、このリケノンは頑張ってf2.4。

f2.8は低コストのテッサータイプでも実現できるので、半絞り明るく差別化したのだろう。その半絞りがどんな描写になるのか。


Ricoh 500 deluxe はカメラ底面の、フィルム巻き上げ速写レバーがカッコいい。メカマニア心をくすぐるが、手に入れたジャンクは動かなかった。

デジタル用に改造する。

フィルム室からレンズを外す。シャッターを開放化する。M42マウントを付ける。

この3行程を試行錯誤しながら楽しむ。

M42ヘリコイドリングを使ってカメラに装着すれば完成だ。さあ、撮影を楽しもう。



前ボケはとても素直。後ろボケは少し2線ボケだが、少し滲んで気にならない。画面隅で崩れることもない。
ブランコの鎖を見ると少し色収差で緑がかっている。





ボケはやはり素直で、画面隅までスキがない。




少し絞れば、とても均質によく写る。




クセノター構成の特徴は、画面隅まで均質に高画質なことだと思います。それは大きなフォーマットのカメラに向いていて、中判カメラの標準レンズに1970年代末まで使われていたことが納得できます。

描写は、モノを記録するためのマクロレンズや、精緻な風景写真に向いていて、クールな写真が撮れそうです。癖のないクセノター。

オールドレンズとしてみると、面白みがわかりにくく、玄人好みな気がします。私みたいな軽いノリでは、まだまだ修行が足りません。










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味わいのあるオールドレンズ AIRES VISCOUNT / H CORAL 4.5cm F1.9 : The old lenses with tasty character.

 



アイレス写真機製作所は1950年創業で、10年後の1960年に倒産した。旧帝国陸軍の光学技術をルーツに持つ、こだわりのモノづくりメーカーだった。

ニッコールレンズ付き二眼レフの評価が高いが、1957年のAIRES 35IIICもライカのコピーっぷり(?)で評価が高い。35mmフィルムカメラのレンズは自社製のCORALで、この評価も悪くないようだ。

1950年代カメラはとても高価だったが、後半になると徐々に安くなり、広く一般に普及するようになっていく。メーカーが生き残るにはコストダウンが重要になり、凝ったメカニズムから合理的なモノづくりに変化した。

AIRES  VISCOUNT (1959年発売) は、アイレスのほぼ最後のカメラだ。時代に合わせてコストダウンされたシンプルなカメラだが、持ってみるとファインダーも見やすく重厚なつくりだ。



重く重厚なカメラだが、購入したのはかなりのジャンク品。ヘリコイドやシャッターは固着している。
さて、分解してレンズ改造しよう。

造りは重厚だが、シンプルな構造。レンズとボディは同時に組み立てたようで、レンズ前方からしか分解できない。
前レンズ、メカ部、後レンズ。ユニットになっているので分解は簡単。ヘリコイドの固着は重症で、ピクリともしない。再生するなら、しばらく溶剤付けにする必要がありそうだ。

でも再生はしないで代用品を使う。改造レンズのフォーカスは、M42マウント汎用ヘリコイド中間リングを使った方が、最短撮影距離を短くできる。

レンズ鏡胴は独特である。一般的にはレンズシャッター部がボディ取り付け部になるが、これはレンズ鏡胴が取り付け面だ。この面に3Dプリンターで、レンズ鏡胴とM42マウントを「繋ぐパーツ」を作る。






H CORAL 45mm F1.9

取扱説明書より、構成図


レンズ構成は4群6枚のガウスタイプ。
1950年代の固定式レンズシャッターカメラでは、f2クラスの大口径ガウスレンズは一般的だ。そのなかで、一番最初に登場したのがアイレスなのだ。(AIRES 35III 1955年)  

基幹部品であるレンズシャッターは汎用品で、カメラのスペックは横並びになりやすい。ライバルがより明るくf1.9になると、アイレスもライバルに合わせてf1.9に大口径化した。(AIRES 35IIIC 1957年)  
このf1.9がアイレスの中心的なレンズになり、今回のAIRES  VISCOUNT(1959年)でも使われている。


前面レンズ外径は30mmあり、f1.9にしては大きい。レンズシャッターの制約で後玉を小さくすると前玉が大きくなるようだ。
オールドレンズでは後玉が小さい方がデジタルセンサーとの相性が良くなる。さて実際にはどう写るだろうか。

f1.9開放。わずかにフレアがかるが、隅までよく写っている。1950年代後半の大口径レンズだから優秀だ。

f1.9開放。ボケは暴れる。ぐるぐる。


像面湾曲は残念ながら少しある。レンズのせいではなく、デジタルセンサーとの相性かもしれない(センサー前のフィルターが像面湾曲を発生させる)







f5.6 絞ればフレアーは消えてすっきり、安定する。






逆光だけど、思ったよりゴーストはでなかった。優秀なレンズだと思う。

f1.9開放。適度に暴れるボケが魅力的。


最後もf1.9開放で。光源にはサジタルコマフレアがみえる。
開放時のフレアがかった描写は、これが原因だろう。




H CORAL 45mm F1.9は、アイレスを代表するレンズらしく優秀でした。
優しく立体感のある描写で、隅までよく解像します。
それに対してボケは暴れやすい。それが適度な暴れ方で、なかなか味わいがあります。


レンズ銘の「CORAL」はサンゴの意味で、サンゴ宝石は日本の特産品です。鉱物宝石のシャープさはありませんが、味わいがあります。まさにそんなレンズです。
CORAL は、もともと昭和光機製造のブランドでした。
その後、アイレスに買収されて傘下になりました。
昭和光機は、優れた製品を作っていたのでしょう。1960年にアイレスが倒産した後もずっと存続していて、現在は「京セラSOC」になって先進的な光学機器を開発製造しています。
https://www.ksoc.co.jp/kaisha/history/











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MINOLTA DiMAGE 7i     デジタルカメラにノルタルジーを感じる。 Feeling nostalgia in the digital camera.



21世紀の始まりである2001年は、写真の主流がアナログフィルムからデジタルセンサーに移行するタイミングでもあった。


1990年代にデジタルカメラは一般化し、プロ用の超高級機も生まれている。未来はデジタルになるのが明らかだったが、趣味で使うには大型センサーのデジタル一眼レフはまだ高価すぎた。

そこでミノルタは、コストと高性能のバランスの取れた  2/3インチ500万画素センサーのハイアマチュア向けカメラを企画した。比較的小さなセンサーなら高倍率高性能ズームが大きくならず、レンズ一体型でオールラウンドに使える。ミノルタ渾身の7倍ズーム一体型高機能カメラは、伝統のエースナンバー「7」をつけて21世と同時に登場した。

しかし2001年に発売された MINOLTA DiMAGE 7にはいくつか問題があり、翌2002年DiMAGE 7i  にマイナーチェンジされた。


写真はレンズで決まる。レンズを選ぶ視点はカメラとは違う。感性を重視すると、レンズとカメラは別に選びたくなる。

だからレンズ交換可能なシステムカメラがいつの時代でも主流になる。そしてそれは高性能ズームレンズができても変わらなかった。ミノルタ渾身のレンズ一体型カメラは、残念ながら主流にはならなかった。

2003年にはより安価なデジタルシステムカメラ、CANON EOS KISS digital が発売されて流れは決まった。主流を持たないミノルタは低迷してコニカと合併。2006年にはカメラ事業をソニーへ譲渡して終了してしまった。

21世紀初頭は、エレクトロニクスの進化が従来技術を超えたターニングポイントだった。デジタルカメラだけでなく、新たにスマートフォンやハイブリッドカーが主流になる一方、それを乗り越えられない企業も多かった。


今回はそんなミノルタ最後のエース、DiMAGE 7i  (ホントの最後はDiMAGE 7Hi  だけどメモリ増加モデルで写りはほぼ同じ)を使ってみたいと思う。気合の入ったモデルにも関わらず流通価格が安いのだ。

ガチャガチャして高級感はないけど (当時15万円以上した)、ダイヤルの並ぶメカニカル感は未来感もあって悪くない。楽しみなのはレンズとセンサーだ。

・高性能ズーム。換算28-200mmの7倍で、低分散や非球面レンズを贅沢に使っている。f値も2.8-3.5と明るく、当時の評判も良かった。

・CCDセンサー。デジカメのセンサーが高コストのCCDからコスパの良いCMOSに進化したタイミングでもある。熟成されたCCDセンサーの写りはどうだろうか。



パキッとしている。よく見るとエッジには、ほんの少し色収差はある。
コントラストの効いた描写はCCDセンサーらしいのでしょう。等倍で見ると粒粒ノイズがあるのだけど、それには味を感じる。


望遠ズームすれば、背景をぼかすことができる。





CCDセンサーは白飛びしやすい。でもそれってわるいのかな。ダイナミックな立体感、空気感が写っている。







派手な色調になった。CCDセンサーの特徴でもある。



ノスタルジックなものが似合う。デジタルなのに。



撮影していて面白いのは、シャッターが連射ができないこと。一枚とると、10秒くらいブラックアウトするのだ。まるでクイックリターン以前の1950年代一眼レフである。
だからフィルムカメラのように、一枚一枚が大事だ。ちゃんと考えてからシャッターを切るのは久しぶりで新鮮である。

CCDセンサーのコントラストが高くノイズのある描写も、いい意味でノスタルジックな味になった。

今回、24年前のクラシック デジタルカメラで撮影して、ノスタルジーを感じた。デジタルもそのくらい歴史ができたのだ。それが今回の発見だった。









バッテリーについて。
古いデジカメはバッテリーが手に入らないことがあるが、単3電池を使うので問題ないはずだった。でもエネループだと持ちが悪いのだ。容量というよりも電圧の問題みたいで、1.2vだとぎりぎりのようだ。
単3型の充電リチウム(1.5v)にしたら、問題は全くなくなった。











#オールドデジカメ #DiMAGE7i