ヤシカオートフォーカスは世界で2番目のオートフォーカスカメラだった。
1番目は1977年11月のKONICA C35AF「ジャスピンコニカ」だ。そして、このオートフォーカスはマーケットを大きく変えてしまった。
そもそもちゃんとしたファインダーがあれば、フォーカスを合わせるのは難しいことではないはずだった。しかし安い大衆機ではフォーカスは目測式になるから、慣れなければピンボケばかり。だから一般の人々には、自動でピントが合うのは夢の機能になったのだ。その結果高価でもオートフォーカスは売れた。実はそのお金で高級なファインダー付きが買えたのに、とも思う。
とにかく世界初のオートフォーカスで業界は大騒ぎになり、各社が追従、僅か11ヶ月後に、ヤシカが「ズバピン」AUTO FOCUS を発売する。11か月で、よく開発したと思う。
しかしデザインは2番煎じで、しかも劣化している。パクリ(犯罪)といわれないように無理矢理ロゴ位置を変えて、AFロック機能を追加。しかしこのまとまりのない見た目では、、、デザインにももう少し気を使ってほしかった。ヤシカは(Half 17のように)素晴らしいデザインのカメラもあれば、パクリ判定されたヤシカ44というものまである。残念ながら経営にデザインが根付かないで、安定しなかったようだ。
価格はコニカよりも1,800円安い43,000円。後発だから安くしているが、それでも高価だ。高級機としての佇まい、とまでいかなくても、技術を追いかける「チャレンジャーの心意気」は表現してほしいと思った。
アイデアは先行機種を参考にできるとしても、実際に設計するのは大変だ。皮をはいでみると、苦労の跡が感じられる。
さて、ヤシカのレンズは富岡光学製が多く写りには定評がある。このレンズのメーカーはわからないが、高級機だ。構成は3群4枚テッサータイプ。期待はできる。
写りが良ければ本気で改造することとして、まずはパーツを組み合わせて簡単にカメラにセットする。絞りは開放だけで撮ってみた。
4隅はあやしく、特に手前側は乱れる。
正直こんなものか、と思った。
右上隅の拡大。
拡大してみると、なんとか隅まで解像している。パッとしない原因の一つは、コマ収差で滲んでコントラストが低下しているためだ。4隅の乱れは、さらに非点収差によって、フォーカスの前後で描写が暴れている。(そうじゃないかなとおもった)
比較として、ほぼ同じ仕様の他レンズはどうだろうか。どうしたものか、フイルムコンパクトカメラの38mmf2.8 というスペックは各社全くの横並びだ。これまでに改造したレンズを比較してみることにした。
年代の近い1976年製のフラッシュフジカ デート。マニュアルゾーンフォーカス。変形テッサー4群4枚の写りは…
世代が後の1983年製オリンパスAFL。このレンズもZUIKO38mm f2.8。やはり3群4枚のテッサータイプである。
右上隅:オリンパス ズイコーは、ヤシカと似た描写だがコントラストはよい。解像はヤシカのほうがいいかもしれない。
描写は結構いいかもしれない。すべて開放ですが、撮影しにお散歩に行きましょう。
近距離もきれいにとれます。
テッサータイプは近距離も得意な印象ですが、実際にはこのカメラは最短1mまでしか寄れなかった。改造ではヘリコイドアダプターを使っているので、30㎝くらいまで寄れるようになっている。
ボケは強い2線ボケで、シャボンになります。背景に変化ができておもしろく撮れそうです。
さて、この地味なヤシカレンズ 38mm f2.8ですが、隅が乱れたいまいちな写真と、はっとするシャープな描写の写真が混在しています。画面4隅の収差は、絞れば消えるタイプですので、絞れば化けるかもしれません。引き続き改造してみましょう。
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