その解決策として生まれたのが1980年にミノルタから発売された2焦点カメラである。これはもともとのレンズの後ろ側に内蔵しているテレコンバーターを挿入することで望遠化するギミックだ。実際にはマスターレンズの移動やファインダーの切り替えなど複雑な「からくり」によって行っている。
その2焦点カメラも、画期的に小型/オートフォーカス化されたズームレンズの誕生によって、人気がなくなり、90年代初めに市場から消えることになる。工業製品のアイデア寿命は10年で、競争力がなくなる。
さてこのミノルタAFツイン28は、1991年製で、最後のミノルタ製2焦点カメラだ。
すでにコンパクトカメラのズームレンズは一般化していたが、まだ広角と小型化は苦手だった。その隙間をぬって広角28mmレンズを搭載、プラスチックのボディはとても軽い(安っぽい)。
でも、広角28mmにテレコンをかませても望遠にはならない。長焦点側でも40mm。まだ広角。28/40mmの切り替えならば、28mmだけで充分だ。
そんな安っぽくて、ダメな感じのAFツイン28だが、コンパクトカメラで珍しい28mmレンズは魅力的だ。3群3枚のミニマムな構成だが90年代の設計であるし、長焦点側のマスターレンズになるから手を抜けないはずだ。でも、カメラの人気がなさ過ぎて、レンズ描写の評判がわからない。自分で改造して、試してみよう。
カメラを分解して、レンズを取り外す。トリプレット28mmはバックフォーカスが短いのでオリジナルのヘリコイドや絞りは使えない。Mマウントヘリコイドアダプターを使ってフォーカスすることにする。レンズはMマウントボディキャップに装着した。
レンズは明るさf4のスペックだが、もともとはf2.8くらいのようだ。まずはそれでとってみる。
想像以上のボケボケだ。ファンタジーな趣味はないので絞ってみる。f8くらいになるように固定絞りをつけた。
トリプレットらしく中心部は鮮明。周辺に向かうにしたがって、だんだんぼけていく。ボケの原因は像面湾曲のようで、f8に絞ったことでだいぶ緩和されている。
近距離の描写は良い。周辺減光はあるけど、このくらいは許容範囲。
遠景になると周辺減光が大きくなり、色かぶりも気になってくる。コンパクトカメラの28mmレンズはバックフォーカスが短すぎて、デジタルとの相性が悪いものが多い。その中では悪くなさそうだけど、コニカ現場監督28WBのほうが明らかによい。
0 件のコメント:
コメントを投稿