ズームレンズ固定型コンパクトカメラの実験。フラッシュ フジカ ズーム デート FLASH FUJICA ZOOM FUJINON・Z 37-55mm F3.8

世界最初のズーム付きレンズ固定型コンパクトカメラだ。37mmから55mmという控えめな、標準から標準という微妙な焦点距離のズームレンズがついている。
フォーカスは目測式だが、発売された1978年にはすでにオートフォーカスが一般化していた。そしてこのようなコンパクトカメラにズームレンズが普及するのは、このあと10年後のことだ。フラッシュ フジカ ズームは、まるでレンズ固定型カメラの理想を探す実験機のようだ。


大振りなボディに立派なレンズが着いた佇まいで、高級感がある。レンズは直進ズームで、ゾーンフォーカス的に使いやすいように距離ごとにクリックがついている。
だけど最短撮影距離は120cmもあって使いにくい。レンズは8群8枚の構成だが、絞りとシャッターは一番後ろのビハインド配置だ。ズームで後群が移動するのに絞りの位置は固定されていて少し心配だ。
コンパクトカメラにしては大きなレンズだが、一眼レフと比べるとバックフォーカス短くてコンパクトだ。バックフォーカスの短いズームレンズ、その写りにはとても興味がある。

デジカメ用にEマウント改造してみよう。まず分解して、レンズボードを外す。

このボードからEマウントのフランジまで8mmちょっとで無限遠がでる。できればMマウントにしてヘリコイドアダプターで最短撮影距離を短くしたかったけど、そのためには10mmは必要。あきらめてレンズボードを丸く切ってEマウントを付ける。絞りはレバー式にして操作できるようにした。安っぽい2枚絞りで歪んでるけど。

プラスチックでスペーサーを作って、C-Eマウントアダプターをネジ留めする。
レバーで絞りを変えられるが、fはわからない。


さて、写りが楽しみだ。まずは電車待ちのホームから。

55mmは糸巻き37mmは樽型の歪曲収差。素直な形なので、悪くはない。周辺減光というよりは蹴られている感じがする。たぶんビハインド絞りのせいだろう。そして悪くないけど、あまりシャープさは感じない。

それより55mmと37mmの違いは微妙。使いこなすことで何かの修行になりそうだ。


寄れないのはやはり困る。しかも近距離はあまりシャープではない。一方遠距離はシャープに写っているし、色のりの良さはさすがフジフイルムのレンズだ。
使いにくい微妙なスペックだけど、いいレンズなのだろう。

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