トリプレットの銘玉 か。 FUJINON 35mm f3.5 FUJI TELE CARDIA SUPER / This is the masterpiece of triplet lens.





3群3枚の構成のトリプレットレンズは、ミニマムな構成でありながら良く写る。加工と科学における妥協のベストバランスの一つなのだろう。そんな中でも、今回取り上げる1987年製フジ テレ カルディア スーパー、フジノン35mm f3.5はとても良く写った。

まずはコンパクトカメラによくあるトリプレットとテッサー2つのレンズ構成について、かんがえてみる。


トリプレットとテッサーとデジタルカメラ







コンパクトフイルムカメラでよく使われるテッサーは、トリプレット・レンズを改良したもので、凸凹凸3枚目の凸レンズを、2枚貼り合わせにしてある。でもこれを改造してデジタルカメラに付けると、周辺部の色被りなどでトリプレットよりも描写が悪くなることが多い。理由を考えてみよう。
 
テッサーは3群めのレンズの曲率が弱く、全体としてテレフォト気味にコンパクトにすることができる。そのため、コンパクトにできないトリプレットよりも、テレセントリック性(センサーに真っ直ぐ光が入ること)が劣り、周辺描写が悪くなる。

いっぽうトリプレットは、像面湾曲が発生しやすく、フォーカスが平面で合わないのが欠点だ。ところでデジタルカメラにはセンサーの前に厚めの平面ガラスを使った赤外線カットフィルターがあり、ソニーのように2mm厚もあると像面湾曲に影響を及ぼす。これがなんとトリプレットの収差を修正する方向で働くのだ。

つまり、トリプレットレンズはフイルム時代よりもデジカメのほうが良く、テッサーは悪くなっている可能性がある。これがトリプレットレンズが良く映る理由かもしれない。

というわけでフジ テレカルディア スーパーに話は戻る。これは2焦点カメラで、広角側レンズの描写は期待ができる。望遠側のマスターレンズにもなるため、手が抜けないのだ。
このカメラを分解して、レンズユニットを取り出した。コンパクトカメラのユニットが乗せやすい レンズを外したロシア製「インダスター50」の鏡胴 に搭載、ソニーa7に装着してみた。

その写りはどうだろうか。



絞り開放で、隅まできれいに結像している。一眼レフのレンズなら当たり前だが、フイルムコンパクトカメラのレンズでは珍しい。(他のレンズ比較)


遠景は周辺減光はあるが、色かぶりはない。これも珍しい。



ぼく、トラのもん。らしい。耳があってよかったね。
逆光でフレアーが出るが、悪いことではない。写真としてはいい感じ。



ボケは前後とも癖はなく踏みとどまっている。とろけるような美しさには遠いけど、ぜんぜん悪くない。
まとめるとフジノンらしくバランスの取れた、悪くないレンズだ。悪くないというと、悪いみたいだけど、これが
コンパクトに収まっていて、すごくいい。



































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