フィッシュアイ入門編、面白いから手軽に楽しもう。 Introduction to Fisheye, interesting and easy to enjoy!

フィッシュアイは面白いレンズで、対角線タイプならば難しくない。ぜひ使ってみて!ということで、手軽に使える入門編を書く。

レンズの歴史はいろいろあるが、180度の画角を持つフィッシュアイレンズの歴史は、なんと自然現象から始まった。水中に潜って空を見ると、水と空気面の屈折から、外の世界が丸く歪んだフィッシュアイレンズのように見える。スネルの窓という。


そのような経緯から、最初のフィッシュアイレンズは、カメラ本体を水に沈めて使う構造をしていた。水−空気の屈折を使ったフィッシュアイコンバーターだ。その後、水はガラスに置き換えられて、レトロフォーカス構成のレンズとなった。


フィッシュアイ(魚眼)には2種類ある。空を撮る目的で作られた、半球空間全てを円映像に収める円周魚眼。通常の撮影にも使いやすいようにフルフレームで写り、対角線で180度くらいの画角がある対角魚眼。この2種類で、一眼レフシステムでは両方のレンズが用意される。


このフィッシュアイ、対角魚眼は超広角レンズとして面白く、ふつうに使える。そして円周魚眼は、通常のフレーミングとはぜんぜん違う別世界を提供してくれる。


でも特殊なレンズなので高価。高価なものは高性能だから、それでもいいと思うが、普段使うものではないので「お試し価格」で使いたいと考えた。ここでは、手軽なフィッシュアイレンズを紹介する。


一つは、コンバージョンレンズという手がある。通常のレンズの前側に付けるコンバージョンレンズは、絞りとかフォーカスが無いシンプルな光学系だから手軽な値段で手に入る。高画質を狙ったものはマスターレンズに対して専用設計しているが、古くなるとマスター側が時代遅れになって、かえって安くなってしまう。それが狙い目。

また、トイレンズや防犯用など高価でないフィッシュアイもある。フィッシュアイ遊びの参考になれば、と思い紹介する。


フィッシュアイ・コンバージョンレンズ

フロントコンバーターの大きさは、取り付けるマスターレンズの口径で決まる。つまりマスターレンズは暗いレンズのほうが写りは良くなる。

確認した範囲だと、暗い標準ズームとコンパクトカメラで使われていたトリプレット(3群3枚のレンズ構成)の写りが良い。高価でないもののほうが良く写る、奥の深い世界だ。


NIKON FISHEYE CONVERTER FC-E8

ニコンが最初に出したデジカメ(センサーが小さくレンズ固定式)用に、本気で作ったコンバーターレンズ。細い鏡胴から巨大な前玉キノコで、カッコ悪いが良く写る。ニッコール千夜一夜物語にも紹介されている。4群5枚の構成で、画角は183度。
フルサイズで35mm画角のレンズを使うと全周魚眼になる。フィルター径28mm用のため、ステップダウンリングで調整、装着した。 →こちらに作例あります




Fish eye for HOLGA

大きな120フィルムをつかうトイカメラ、HOLGA用のフィッシュアイコンバーター。実は2種類あって、これはガラスレンズで良く写る方。(もう一つはプラスチックレンズでトイカメラっぽく写る)
画角は150度くらいで、マスターレンズは50㎜にすると対角線魚眼、24mmにすると円周魚眼になる。やはりレンズは暗いことが重要で、さらに絞り込むことで周辺まで解像する。





トイレンズ

写りがユニークなフィッシュアイは、トイレンズに向いている。ふつうの超広角よりも歪曲収差や周辺減光補正が楽で、低コストに作れるところもポイントだ。

ロモグラフィ フィッシュアイ2/Fish-eye2  10mm f8


ロモグラフィ フィッシュアイ2。わずか数千円で買えるプラスチック製のトイカメラである。そのレンズをミラーレス用に改造した。レンズは10mm f8でパンフォーカスに固定されている。私はクローズアップが撮りたいのでヘリコイドでフォーカスできるようにしている。


レンズは白っぽく見えて、プラスチック製と思われる。画角は170度くらいあって意外とちゃんとしている。ユニークなのは円周魚眼と対角線魚眼の中間を狙っていること。円周魚眼を狙いながら、画像が小さくなりすぎないようにしたのだろう。
画像は中心部はそこそこで、周辺はそれほどでもない。APSミラーレスで使うと対角線魚眼になり、中心部がおおきくなって結果として画質はよくなる。 →こちらに作例あります



ニコンおもしろレンズ工房 ぎょぎょっと20 20mm f8

1995年にニコンがつくったトイレンズ。でもさすがニコン。わずか2群3枚のレンズ構成なのにビシッと良く写る。もともと固定絞り、固定焦点で近距離は撮れない。でもフィッシュアイは寄りが重要なので無限遠が出せるヘリコイドアダプターを制作。ソニーa7に装着した。

画角150度の対角線魚眼。このくらいの画角のほうが極端すぎずにつかいやすい。写しもクリアーでお勧めのレンズだ。ただしアダプターはヘリコイドタイプがいい。私はニコンFマウントーM42マウントアダプター、M42 ヘリコイド中間リング17-31mm、M42‐Eマウント薄型アダプターこの3つをくみあわせてヘリコイドアダプターとした。→それによる作例はこちら。




撮影しやすいフィッシュアイ ズーム

smc PENTAX FISH-EYE 17-28mm
ペンタックスによる世界初のフィッシュアイズーム。対角線魚眼から魚眼的歪曲28mmまでズームできる。1994年の古いレンズだが、手軽というほど安くなっていない人気レンズである。ここで紹介したのは、撮影が手軽にできるからだ。フィッシュアイは画角が広すぎてフレーミングをちゃんとやろうと思うと苦労する。それがズームならば簡単。画角を極端すぎないようにできるところもいい。
撮影しやすく、写りもいい。少し高いけどおすすめ。ただレンズ鏡胴が安っぽくてガタのきているものが多い気がする。→作例



手軽なフィッシュアイ、私の持っているものを紹介した。フロント コンバージョンレンズならば、高画質なモノ、クローズアップ用などまだまだたくさんある。
また、M4/3用ならば、ボディキャップレンズや産業用Cマウントレンズにも使えるものがある。安く手に入ったらいろいろ試したい。






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