カメラにおける「幼年期の終わり」 ペンタックス オートロンⅡ PENTAX PC35AF-M 35mm f2.8



一眼レフ専門だったペンタックスが、初めて出したコンパクトカメラ、オートロンについて考える。

カメラは長い間、レンズの描写にこだわり、それをいかに自動化するかで進化してきた。
そして、1977年の「ジャスピンコニカ」以降オートフォーカス技術が中心になる。オートフォーカスはそれまでの自動露出とは違って、レンズという重量物を高速で動かさなくてはならない。それまではレンズ性能を確保したうえでの自動化だったものが、オートフォーカスのためのレンズ、と重要なポイントが変化したのだ。

この時以来カメラはレンズ中心ではなくトータルパッケージで決まる時代になった

ペンタックス初となるコンパクトカメラ、オートロン PC35AFは 1982年に、5群5枚構成の贅沢な(重い)レンズをもって発売された。このカメラもオートフォーカスに欠点を抱えていたが、この5枚構成のレンズは1985年発売の3代目にまで継承され、そのあと後継機はでなかった。この後のカメラは描写よりも使い勝手を考え、オートフォーカスできるように進化したズームレンズが主流になる。

このペンタックス オートロン2は、同じ5群5枚のレンズを持つ2代目である。コンパクトにするためにテレフォト構成、凸凹凸のトリプレットの後ろ側に、凹凸レンズを持つ構成のようだ。
オリンパスXAに影響を受けたスライドバリアデザイン。この当時みんな真似をしたが、シャープな造形は悪くない。
分解すると、構造が分かる。AFは8段階であることが分かる。でもここから使うのはレンズだけ。取り外して改造計画を立てる。
35mmレンズはバックフォーカスが短すぎて、できることが少ない。今回は絞りが使いたかったため、インダスター50の鏡胴に組み込むようにする。
レンズユニットはもともとのインダスター50よりも細いので、外側にスペーサーをはめる。無限遠調整をすれば、超コンパクトな35mmの出来上がり。さて、コンパクトだが写りが良かったレンズ、デジタルとの相性はどうだろうか。

 とてもコンパクトで素敵な佇まい。これで写りが良ければ言うことがないのだけど。

最短撮影距離は35㎝くらいになっている。開放だと隅がフレアがかることがある。
 f8。絞れば近距離描写はかなりいい。

 これもf8。
 絞れば4隅まで解像するが、色収差によるパープルフリンジとコマ収差で、シャープさが落ちている

周辺減光はそこそこあるが、ソニーa7につけたコンパクトカメラの35mmのなかでは、悪くない方だ。このくらいは絵作りに使える。少し色かぶりが発生している


さてこのレンズ、近景は得意で、絞りを開けてぼかすのもいい。遠景は、周辺に色収差とコマ収差が出るので絞る必要がある。
デジタルとの相性で問題になる、周辺減光や色かぶりは悪くない。ツアイステッサーや、ニコンゾナーよりもいい感じではある。描写は優しい感じで、それら2機種よりもシャープさは感じない。
おなじようなコンパクトカメラレンズでも、個性があって楽しめる。

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