宇宙に行って、運命が変わる ミノルタ ハイマチック7 ROKKOR -PF 45mm f1.8 MINOLTA HI-MATIC 7 



1962年NASAはフレンドシップ7号によって、有人地球周回に成功した

その搭乗員ジョン・グレンが宇宙へ持っていたカメラがミノルタ・ハイマチックである。ミノルタを持って行った理由は、宇宙基地の近所で売っていたからだ。(数台買って比較はしたらしい)
とにかく、たまたまにしろ世界で最初の宇宙カメラになったのだ。キヤノネット・ショックで激動のカメラ業界においては、神風が吹いたようなものだ。そして翌1963年、ミノルタはフレンドシップ7号にあやかって、ハイマチックの新型に7の数字をつける。こうしてミノルタだけでなく、カメラメーカーはエース機種には7をつける、という伝統が誕生した。もっともフレンドシップも6号があるわけではなく、宇宙飛行士7人のチームだったからフレンドシップ7号なのだ。
こんな風に様々な偶然で生まれた名機、ミノルタ・ハイマチック7である。


それから半世紀以上たって、宇宙カメラの神通力もなくなり、宇宙的なクリーン・モダン・デザインも今や味気なくつまらなくなり、メカの消耗したハイマチック7はリサイクルショップのジャンクコーナーで捨て値で転がっていた。ハイマチック7は私が改造目的で買った最初のジャンクカメラだ。
ミラーレスカメラを持っていたが、カメラ本体に対してレンズが大きすぎると感じていた。フイルム時代のコンパクトカメラはもっとレンズが小さかったはずだと。そんなとき、たまたま覗いたジャンクボックスの京セラTとハイマチック7のレンズが魅力的に見えたのだ。

カメラはレンズとファインダー、シャッター、メディアでできている。
メディアのフィルムはデジタルに変化した。クオリティはそんなに上がっていないと思うが、現像時間とコストが劇的に身近になった。
シャッターは昔からシャッターメーカーによる汎用品を購入して組み込んでいる。
手間がかかるのはレンズとファインダーで、そのレンズは耐用年数があるガラスで高価な切削磨き工程でできている。でもそのレンズは傷んだメカ部分につきあってジャンクになっている。君はまだまだ使えるはずだ。

本来レンズには価値があるのに、ジャンクにされていてもったいない。ミラーレスなら自動絞りもいらないので、改造して装着できる。そんな気持ちで改造レンズ遊びを始めた。
ところが、最初に分解したハイマチック7はうまくいかなかった。その後、ずっと気になりながらほっておいた。
最近気が付いた。場数を踏んだ今なら改造できるはず。
昔の私はこれから先が分からなかった。ゴムツールで、レンズ後群を回して外せばよかったんだ。
フォーカス用のヘリコイドもオリジナルを使おうとしていた。でもコンパクトカメラやレンジファインダーカメラは全然寄れなくて使いにくい。オリジナルはやめてM42ヘリコイド中間リングを使うことで寄れるようになった。ヘリコイドは使いまわすことで、Eマウントなどのパーツ代も節約できる。
レンズは5群6枚の変形ダブルガウス。ジョン・グレンは自動化された操作性だけでなく、写りも比較したはずだ。伝説の宇宙レンズの写りはどうだろうか

絞り開放。本来の最短撮影距離よりも近づいているが、シャープさは維持している。ボケもきれいだ。


前ボケもきれい。

ボケは基本的に素直だが、距離により微妙にグルグルボケになるときがある。風のない日の「玉ねぎの葉」がそよぐ。



周辺の点光源が羽を広げるようなコマ収差も少なめでしょうか。(比較しないとわかりませんが)
すっきりと写っています。


今回はたぶん、すべて絞り開放でとっています。
線が細くて、立体感のある写りをする。繊細な優しいレンズですね。
開放でもすっきり写るので、なるほど宇宙にも強そうです。







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