CANON LENS 40mm f1.7
1950~60年代にかけて、レンジファインダーつきのレンズ固定式カメラの全盛期だった。そこには数多くの町工場的メーカーがあり、現在は中古としてとても楽しめる。しかし1961年に発売されたキヤノネットは近代的大量生産による製品であり、低価格でマーケットを革新し、町工場カメラを駆逐してしまう。そして60年代からカメラは大量生産を前提としたものになっていく。
このニューキヤノネットQL17はその8年後、1969年に発売されたものである。イケてる企画も10年で古くなる、と考えると、終わりの見えた円熟期ともいえる。実際にこの前の年には、コンパクトで、簡単に撮影できるジャーニーコニカ C35が、より低価格で発売されている。「より手軽に撮れる」カメラはそれまであったハーフサイズのマーケットをも飲み込んだ。これ以降コンパクトカメラは、オート機構開発に移ることになる。
さてキヤノネットのレンズは大口径の40㎜f1.7、キヤノンには手慣れたダブルガウス構成であり、写りには定評がある。そんなレンズをジャンクカメラからはずしてEマウントにする。
分解してみると、Eマウントへの改造は、意外と難しい。レンズはカメラ本体から外せるが、ヘリコイドを留めている固定リングが固着してどうにも外れない。ネットで見ると同じ症状が多く、組付け時に緩まないように接着剤を塗っていたかもしれない。
外れないからオリジナルのヘリコイドを活用することにするが、直進キーガイドが後ろにはみ出していてカメラ内部にあたってしまう。この部分は切り落とす。切り落として無限遠の位置を確認すると、ヘリコイド本体もスペースはギリギリであった。
直進キーを切り落としたので、回転ヘリコイドにする。(フォーカスで絞りリングもまわって使いにくくなる)
苦労してシャッターの開放処理、脱落防止の最短撮影距離ストッパーもつけて、Eマウント化は完成。
さて、苦労に見合った写りはするだろうか。
シャープですね。撮影距離は50㎝くらいなので、本来の最短(80㎝)よりも寄っているのですが、それでもシャープに写っています。ボケはバリバリの2線ボケ。エッジの立ったシャボンボケです。
絞り開放のボケは、絵画のようです。
遠景も細かいところまで解像している。
人間臭い表情をしたネコ。こんな表情をする飼い主なのでしょう。
50年前のレンズですが、抜けもよくシャープに写ります。キヤノンらしい発色の良さも魅力的。
その反面、ボケはエッジの立った2線ボケでうるさく、面白いです。
シャープさは被写体を浮かび上がらせて、f1.7の明るさは背景をぼかしやすい。ぼかして遊ぶのが楽しそうです。
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