1962年発売のフィルムカメラ、リコーオートハーフのレンズ25mm f2.8
(ハーフサイズのためフルサイズ換算35mmの広角)をAPSデジタル用に改造する。
APSデジタルは35mmフィルム ハーフサイズとほぼ同じ大きさなので、同じく広角として使用できる。
もともとオートハーフは固定焦点で、レンズはフォーカシング用のヘリコイドを持たない。バックフォーカスが短くヘリコイドアダプターを使おうとすると、絞りをうまく活かせないなど、改造が難しい。
しばらく前に3Dプリンターを活用してヘリコイドを製作、絞り付きで改造したが、操作性があまり良くなかった。(当時の記録)
ところがこのレンズ、伝説の富岡光学製で、デジタルでもよく写るのだ。もったいないので、鏡胴を再設計、3Dプリントすることにした。
レンズは3群4枚のテッサータイプで、絞りは2枚で形はよくないが、ちゃんとレンズ構成内部にある。
この後1975年以降フィルムのコンパクトカメラはさらに合理的が進み、絞りはレンズ構成の後ろ「ビハインド絞り」が一般的になる。ビハインド絞りは画像隅の光がより斜めになる (テレセントリック性が悪い) ためデジタルカメラと相性が悪い。
合理化しないで絞りをレンズ構成の中央に置いたレンズの方が、描写力は期待できる。
カメラを分解するとレンズボードごと外れる。レンズボードには絞りレバーがあるので、そのまま活かしたい。
絞りリング内側のカム構造で、絞り操作できるようにする。
絞り操作付きのレンズボードユニットをそのまま、回転ヘリコイドでフォーカスする構造。
(直進ヘリコイドにすると、鏡胴が2重構造になるのでもっと太くなる)
外径はなるべくコンパクトにしたいので、構造がシンプルな回転ヘリコイド、レンズボードぎりぎりのサイズにしている。
塗装してくみ上げる。
絞り表示は正確ではないが、描いてあるとかっこがよい。大体はあっている。
レンズ前面が絞りリング。フォーカスは回転ヘリコイドで絞りリングごと回る。
再設計なので、きれいにできたと思う(自画自賛)。
写りのよい富岡光学のレンズ、撮影してみましょう。
画面全体均質にシャープによく写る。やはり良いレンズだ。
2枚絞りは「四芒星」形に絞られる。すごい形なので、ボケもすごいことになる。
前ボケも後ろボケも癖が強い。悪癖と言わないで、個性として遊べばおもしろい。
開放でも隅まできちんと、絞ればシャープに解像力も上がる。
普通に撮れる良いレンズである。
3群4枚のテッサー型レンズ構成は、ボケがノイジーになりやすい欠点がある。ところがこのレンズ、ボケの形が面白い。
もともとオートハーフは固定焦点で、ボケが写ることはない。設計に気をつかわなかったため、と思うが、絞りの形がひし形に突起の出た「四芒星形」である。
広角なので大きくはボケないが、星ボケは面白いアクセントになる。
今回、鏡胴を再製作して、使いやすくなった。
このリコー オートハーフの25mm f2.8は、コンパクトながら良い描写で、普通に使える。そしてボケでも楽しめる。改造する甲斐のあるオールドレンズだ。
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