リコーオートハーフは名カメラだと思う。
1962年、電子技術がまだ未熟な時代に、全自動カメラをコンパクトなボディサイズに収めて開発、発売したのだ。デザインも未来的な高性能をかわいらしく表現していて、今見ても魅力がある。
合理的、魅力的なリコーオートハーフは、そのままのスタイルで商品力を20年間維持しつづけ、電子化によるオートフォーカスが一般化する1980年代初めまで生産を続けた。
開発方法も面白い。ハーフサイズカメラのオリジナルであるオリンパスペン(1959年発売)は「高級ライカを補うサブカメラ」というコンセプトで、長所の考察から魅力を作った。それに対して、このオートハーフは「50歳の母」という具体的な人を仮想ターゲットにする「ペルソナマーケティング」手法で仕様を決定、ターゲットに合わせた開発をした。
モノ発展期の開発は、ユーザー嗜好がどんどん変わっていくので、マーケットリサーチを定量的にやっても意味がない。ここでは、「自分の50歳の母」を想像力を持ってリサーチすることで独創的な名カメラは生まれた。https://web.archive.org/web/20050128102357/http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/2367/shuki.htm
RICOH AUTO HALF E
デザインの特徴は、前面が3分割になっているところ。真ん中にレンズとセレン光電池を巧みにレイアウトして、オリジナルのデザインを創った。そしてコロッとしたプロポーションの下面に厚いノブ(中には巻き上げ用のゼンマイ)がロボットの脚のように2つ配置。アルマイトグラフィックの化粧板と合わせて、未来イメージを創っている。
レンズはパンフォーカスになりやすい25mm広角レンズ。ハーフサイズカメラなので換算35mmくらいで使いやすい。ジャンクカメラからレンズを取り出して、使いやすいデジタル向けに改造する。
シャッターはビハインド。絞りはちゃんとレンズ中間部にあり、レンズボードにレバーがる。3Dプリンターでカム機構をつくって操作できるようにする。フォーカスは回転ヘリコイド。絞りが回って使いづらいけど、スペースがないので仕方がない。
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