フィルムカメラの最終進化はエモかった。CANON SURE SHOT AF-10 / 26mm F6 "TRIPLET LENS" / The final evolution of the film camera was in an emotional direction.

一般的なフィルム コンパクト カメラはデジタルカメラの普及に伴い2010年にはほぼ姿を消した。今回はこの滅びる少し前のフィルムコンパクトカメラ、いわば最終進化形のコンパクトカメラをテーマにしようとおもう。。。


フィルムカメラにおいてもレンズの素材と加工技術は向上して、20世紀終わりには、わずか3枚のレンズで、28mm相当の広角レンズが実現できるようになった。広角レンズはピントが深いためオートフォーカスが簡略化できる。しかも焦点距離が短いのでレンズ自体もコンパクトになる。この極めてコンパクトで低コストだけど広い範囲がシャープに写せる、そんなバランスのパッケージが一つの定番となった。


ただしすでに時代はデジカメ。フィルム低コストのモデルは、日本では「写ルンです」もあって、国内未発表のモデルも多い。そんなマイナーなカメラをまとめた「6500K」さんのブログをみて、試してみたくなった。

https://6500k.wordpress.com/2013/08/27/wide-angle-point-and-shoots-pt-1/

このジャンルのはしりには、1993年のNIKON AF600 がある。このカメラはレンズ評価が高いのだが、中古価格も高い。そんな中で気になったのが、2003年発売の CANON SURE SHOT AF-10だ。海外専用モデルで、他よりも広角な26mmレンズがついている。Flickrの作例写真を見るとシャープで、しかも周辺減光がダイナミックでかっこいいのだ。
https://www.flickr.com/photos/98103584@N04/galleries/72157646442145881/


もともと低コストなカメラなので、マイナーとはいえ安く手に入る。改造レンズを作る目的で、さらに安いジャンクを手に入れてみた。

2003年製 CANON SURE SHOT AF-1  レンズは3群3枚のガラス製トリプレットレンズ。26mmの広角レンズで、絞りは f 6 固定。もう少し明るいレンズのようだが内部に絞りが固定してある。暗いレンズだが、フィルムも高感度のものが一般化していてフラッシュも付いていたから実用性は充分あったと思う。デジタルも感度は自由に変えられるので、f 6 あれば問題ない。そのまま改造する。


レンズ自体もコンパクトなおかげでバックフォーカスはそこそこある。
広角レンズを改造するとは、光が斜めにセンサーに入る影響で、周辺画質が悪くなりやすい。バックフォーカスが長ければ、画質に期待はできる。

フォーカスは、ヘリコイド付きのMマウントアダプターを使う。安価なL39アダプターにレンズユニットを搭載する。3Dプリンターで接着台座をつくってレンズ鏡胴とした。

フルサイズ対応の広角26mm f 6 固定。Eマウント用では全長13mmの「ビスケットレンズ」になる。ヘリコイドで無限遠から至近距離までフォーカスできる。


どう写るか、見てみよう。

右上の「ハナモモ」くらいまでは十分に解像している。


それよりも隅の描写はあやしくなる。フィルム時代の一般プリントは、中央部80%くらいを使い、隅の部分は使わなかった。結果、コンパクトカメラでは、本当に隅の部分までは描写にこだわらないで設計することも多い。


気になるのは激しい周辺減光と フォーカスの像面湾曲。デジタルセンサーとの相性で、強調されている気がする。紫色の色かぶりもある。







近距離になると、周辺減光や像面湾曲は気になりにくい。なくなるわけではないけど。




ドラマチックな周辺減光である。ポジティブに言えば。

もともとのレンズの特徴にプラスして、古いフルサイズデジカメのセンサー性能(相性)と思われるので、最新型ならばここまで減光しないかもしれない。

画面周辺部は、像面湾曲でフォーカスが合わないため、ボケた画像になる。減光で暗くなれば、気にはなりにくい。


フィルムカメラの最終形は、けっこうエモーショナルな方向に進化していた、というのが今回の感想である。



周辺部に特徴(欠点)のあるレンズなので、APSデジカメで中心部分だけ使ったらどうだろうか。

APSカメラと組み合わせても、ビスケットサイズであることは変わらない。2003年製のフィルム用レンズと2012年製のデジタルカメラ。9年しか差がない、、、



APSデジタルで中心部を使うと、普通な描写になる。細部まで解像していて、大きな問題はない。
換算36mmの広角なのだが、サイズが小さい以上の特徴もあまりない。。。

フルサイズで、周辺減光をつかって遊ぶのが、一番面白い気がする。








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