MAMIYA SEKOR 50㎜ f2.8/MAMIYA35 マミヤ・セコール独自の3群5枚レンズはHEKTORの魅力?The Mamiya Sekol's unique 3-group, 5-element lens configuration has the charm of a simplified HEKTOR.

 マミヤは35mmよりも大きなフィルムサイズを得意としたカメラメーカーで、記念写真やスタジオなど、プロ用ニーズがあった。レンズ設計も独自の視点があり、細かな解像度はフィルムサイズで解決すべきという考え方で、画面全体の均質性とコントラストを重視していたように思う。

マミヤは1955年からレンズ固定式の35mmフィルム・コンパクトカメラ、マミヤ35シリーズを展開した。そのレンズ、f1.9 、f2、f2.8らは独自のレンズ構成を持っていて興味深い。

f1.9のレンズもオルソメター型を変形させたようなレンズ構成をもっていて興味深いが、今回のテーマはf2.8である。



まずレンズ構成について、分解してスケッチしてみた。だいたいこんな感じである。

トリプレットの2群目、3群目を貼り合わせレンズに拡張した3群5枚のレンズ構成だ。ゾナーかな、とも思ったが2群目がメニスカスレンズではなく両面凹になっているので違うだろう。ネットで調べると、一番近いのはライカのHEKTOR 50mm f2.5(3群6枚 1930年)だ。

私はヘクトール50mmは持っていないので、「無一居」さまのリンクです。

https://www.photo-china.net/column/leitz50mm_b.html

ライカについてわかりやすくまとまっています。

ATELIER LEICA 0からはじめるデジタルライカの写真https://at-leica.com/catalog/hektor50mm/

HEKTOR 50mm f2.5はトリプレットの3枚のレンズをすべて貼り合わせレンズに拡張した構成であり、第一群の貼り合わせを簡略化すると、ほぼ同じ感じになる。HEKTORは1930年において明るく高性能であった。3群構成のぬけの良さを持ちながら、ハイライトが滲んで、やさしく豊かな写りをするそうだ。構成の似たヘリアーと同じような感じだろうか。(ヘリアー構成のレンズの作例)

さあはたして、その描写はどうなのだろうか。分解、改造、Eマウント化してソニーa7に装着する。

もともとあったフォーカス用のヘリコイドを外して、m42マウントを接着。ヘリコイド中間リング(フォーカス用)を介してカメラに装着する。


開放f2.8、大根の立体感が素晴らしい。背景ボケもグルグルする寸前で踏みとどまっていて素直だ。




開放で撮っているが、周辺まで安定した描写だ。カエルも背景から浮き上がっている。



抜けの良さからくる立体感と、ハイライトの滲みが良い感じだ。トリプレットを貼り合わせレンズで発展させると、トリプレットから収差がさらに補正されるが、球面収差は補正に限界があり、にじみが目立つようになるらしい。それが味になっていると思う。





夜景のハイライトは盛大に滲むが、拡大すると、開放でも隅までちゃんと解像している。


この1956年製マミヤ・セコール5cm f2.8は、開放から、周辺まで描写やボケが安定して普通に使える描写力があります。
そのうえで、抜けの良い立体感と、ハイライトの滲みのバランスの美しさが個性的です。

写真レンズの基本形は、ミニマム構成で収差をバランスよく補正できるトリプレットタイプ(3群3枚レンズ)です。ライカのHEKTORはその3枚を貼り合わせレンズにすることで高性能化しましたが、明るくすると球面収差が解決できずに行き詰づまりました。前後2枚貼り合わせのヘリアーも同様です(たぶん)
このマミヤの2、3群貼り合わせタイプも同じような写りの傾向が感じられます。
でも、マミヤは中判カメラに最適解を見つけ、このレンズ構成をフィルム時代の終わりまで展開し続けました。いつかその最終形も使ってみたいと思います。


























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