1955:a Zuiko’s sonnar type lens. オリンパス・ズイコーのゾナー / Olympus E.Zuiko 4.8cm f2.8 / Olympus 35-S

 1955年発売のフィルム コンパクトカメラ、オリンパス35sの高性能版、f2.8レンズが今回のテーマである。

レンズ構成は4群5枚で、3群4枚のテッサータイプより贅沢になっている。当時のテッサーは明るさf3.5が標準的で、f2.8になるのは数年後、より高性能な光学ガラスが普及してからになる。

メーカーは、レンズ枚数を増やしてより明るいレンズを開発するが、この時代は独自のレンズ構成も多く、個性が出て面白い。このオリンパス・ズイコーも同様で、説明書によると、アメリカ占領下時代(1950年)にライカの交換レンズとして製品化した4cm f2.8 をベースに開発したらしい。

説明書を参考に実物確認したレンズ構成はこんな感じである。最後部の貼り合わせレンズで発展させたエルノスター型と言えると思うが、2群目の貼り合わせレンズを簡略化したゾナー型とも言える。もともとゾナーは貼り合わせレンズを多用して3群にまとめたレンズ構成だが、レンズコーティングが良くなってからは2群目の貼り合わせは簡略化したものが多い。

https://de.wikipedia.org/wiki/Datei:Sonnar_2,8_40.png

当時のコーティングは現代のものほど良くないが、モダンゾナーの先駆けだったのではないだろうか。


この後オリンパス35には、より明るいf1.9レンズの上位機が、変形ガウスタイプで登場し、クラスを超えた高性能で話題になった。→ 作例

45mm f2.8という地味なスペックで注目されなくなった?カメラだが、ゾナーとなれば興味深い。ゾナーは濃厚で優しく品のある描写が特徴だ。面白い写真が撮れるのではないかと期待して、ミラーレス用に改造することにした。

レンズシャッター機なので、レンズはボディにM25ピッチ0.5のリングナットで固定してある。これをフィルム室からカニ目レンチで緩めれば分解できる。M42マウントから直接このM25に変更できるステップダウンリングがあれば(アリエクなら手に入る)簡単にヘリコイドアダプターに装着できると思う。

私は3Dプリンターでマウント部を製作した。

スペックは平凡な中口径だが、ズイコーのゾナー、どんな描写をするのだろうか。






開放から、とても良く写る。像面もフラットで、優秀なレンズだ。



ゾナーらしく、コントラストのある立体感。描写は柔らかく、発色は濃厚であるように見える。

ボケは、距離によってきれいにボケたり、ぐるぐるボケになりかけたりする。




ハイライトが微妙に滲む。光が表現できて、こんな描写が好き。









これはf8に絞った描写。パキッとシャープで、十分に解像していると思う。




夜景ではハイライトの滲みが確認できる。コマフレアーはあるが、4隅まできちんと解像している。

点光源のボケ。f2.8で大きくボケないが、きれいな玉ボケを見せる。


標準単焦点でf2.8と地味なスペックのレンズですが、高級なゾナー構成を持ち、ズイコーらしく欠点のない良い描写をします。それでいてゾナータイプの長所、「微妙な滲みの柔らかさとコントラストのある濃厚な立体感の両立」があります。個性が無いようで個性がある。良い写真が撮れやすいレンズなのではないでしょうか。


















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