1969年製のフィルム コンパクトカメラ、「FUJICA COMPACT S」は 38mmの準広角レンズを持ち、贅沢な4群5枚のレンズ構成で少し明るいf2.5 である。(通常は3群4枚のテッサー構成でf2.8が多い)
このレンズは、最後面が大きく凹んだレンズになっていて、不思議なレンズ構成を持っている。不思議なので分解してレンズ構成をスケッチしてみた。推定もあるが、大体こんな感じである。
このレンズは前玉1枚をフォーカスに使う前玉回転式である。前玉回転は構造がシンプルなのが特徴で、このカメラのように自動露出でレンジファインダーという複雑な機能を コンパクトサイズにまとめやすい。レンズ構成をみると、前玉回転では一般的なトリプレット(レンズ3枚構成)を基本に、収差補正レンズを後部に追加したようにも見える。他にはあまりないレンズ構成だ。
このレンズを外して改造、Eマウント化した。(過去の作例)
発色コントラストが良く好印象なのだけど4隅の周辺描写がよくない。改善するために全群繰り出しに再改造してみた。
改造は、短いM42中間リングを利用してM42マウント化。ヘリコイド中間リングを使ってフォーカスを行う。もともとの前玉回転のフォーカスもあるので、どちらも使えるダブルフォーカスだ。
さて前玉回転に比べて全群繰り出しファーカスにすると、写りはどう変わるのか。比較してみる。
もう一枚、前玉回転フォーカス。背景ボケは像面湾曲で安定しない。
以下はすべて全群繰り出しフォーカス。
大きくぼかせば、シャボンボケがキラキラときれいに出る(残念ながら周辺は崩れる)
開放でも解像感があってシャープな描写なのだが、4隅の描写が流れる欠点がある。
中間画角までは気持ち良いレンズなのだけど、開放時の4隅の像の流れは欠点です。好きな描写なのに惜しい。
APSサイズで使うのがいいかも。ただその場合、38mm f2.5という地味なスペックがネックになりそうな気がします。
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