Fujinon 55mm f2.2 : 個性派ボケ・ビューティ / The unique bokeh beauty.

This lens features beautiful bokeh that is homogeneous from corner to corner. These beautiful images are produced by Fujifilm's unique, inexpensive 4-element lenses.

わずか4枚構成のレンズでありながら、f2.2の明るさを持つフジノン55mmは「バブルボケ」で話題になるレンズだ。「バブルボケ」ブームが一段落、価格も落ち着いたので、安いのを(メンテナンス前提で)購入してみた。

4枚構成のレンズは、富士フィルムが得意としていた。通常の3群4枚テッサー構成も開発するが、1970年代のコンパクトカメラでは、貼り合わせレンズを分離させた4群4枚の変形テッサータイプも開発した。マルチコーティングで反射面の増大は欠点ではなくなり、それよりも収差補正の自由度と貼り合わせないコストダウンを重視したらしい。

この1976年製(?)フジノン55mm f2.2 は、低価格で一眼レフボディとセット販売されたレンズで、富士フィルム得意の変形テッサー?4枚4群の構成になっている。ネットではウナー/スピーディックなど古典的レンズ構成との類似性が指摘されているが、曇ったレンズを分解清掃しながらレンズ構成をスケッチしてみた。


実際にスケッチしてみると、ネットに流れている構成図と違うところも多い。バージョンで仕様の違うレンズもあるのかもしれない。

貼り合わせなしの4枚構成はコストダウンになるが、さらに2,3枚めのレンズのコバ面を接触させ、スペーサーで4枚めのレンズとまとめて固定、組み立て精度とコストダウンを両立している。そのため絞り位置は前玉の後ろに変更されている。

標準的なテッサーでは凹凸レンズの貼り合わせになる3,4枚目は分離した凸と凸のレンズになり、一眼レフでは重要な、レンズ後ろ側の空間を稼ぐ設計になっている。同時にレンズを明るくするのにも役立っているようだ。

見方によっては反転したエルノスター、一枚レンズを省略したクセノタールみたいに見えて面白い。どんな写りをするのだろうか。


STシリーズのM42マウントは、絞りの情報を伝えるツメと絞り開閉のピンがある独自仕様なのでマウントアダプターが必要だ。売ってはいるが、クローズフォーカスができる方がいいので、自作してヘリコイドアダプターと組み合わせた。

STシリーズのM42マウントには絞り情報用のツメが出っ張っている。アダプターのM42マウントの外周は段差にしてツメを逃している。マウント内には絞りピンを押し込む形状を設定した。13-22mmのヘリコイドアダプターと組み合わせてEマウントでちょうど無限遠が出るように調整した。


1番後ろのレンズに微妙な薄曇りは残ってしまったが、撮影してみよう。


開放でとる。フレアと非点収差。
イルミネーションでバブルボケをとってみる。いいですね。綺麗な円形のボケ。




背景は2線ボケなのですが、周辺まで均質であり、美しい背景をつくっています。適度なフレアもあって、水彩画みたいです。一般に美しいと言われる「とろけるようなボケ」ではありませんが個性派美人というところでしょうか。

前ボケはとろけるようにボケます。






このレンズの特徴は、綺麗なバブルボケが周辺まで均質に得られることだと思いました。オールドレンズだと「ぐるぐるボケ」になるものが多いのですが、その傾向はなく、画面全体で均質です。2線ボケになる傾向はありますが、適度なフレアがきれいにならしてくれます。

「バブルボケ」の美しさで話題になったレンズですが、それ以外でも美しく、個性的なボケ美人レンズだと思いました。このような美しい描写が、最も廉価だったわずか4枚構成のレンズによって描かれるのは不思議な感じがします。独特なレンズ構成に秘密があるのでしょうか。
















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