バルサム切れ、分解、レンズ再結合。SMC PENTAX-M MACRO 100mm f4 : The lens fogging due to balsam deterioration; the lens disassembled and re-glued.

 オールドレンズはレンズが曇っているものがある。撮影に悪影響が出るので、ジャンク扱いで安い。このPENTAX-M macro 100mm f4も、ジャンクで手に入れたレンズだ。

3群5枚構成、前と後ろの2枚のレンズを貼り合わせにしたヘリアー型。このレンズ構成の特徴は、シャープで抜けが良く階調が豊かに描写される優れたもの。その一方で大口径にし難く、貼り合わせレンズを2枚も使う高コストのわりに地味なのが欠点だ。

このペンタックス100mm f4も、オールラウンドによく写るレンズらしいが、貼り合わせレンズが曇るという持病がある。曲率の大きな貼り合わせ面が、バルサム切れを起こすらしい。

バルサムというのは、天然樹脂接着剤で、光学レンズの接合に使うものはカナダのモミの木から作られる。(透明でクラウンガラスと同等の屈折率をもつ)      現在は作業性の良い紫外線で硬化するUVレジンが多く使われている。1977年発売のこのレンズも多分UVレジンが使われていて、それが劣化しているのだろう。

このPENTAX-M macro 100mm f4は、レンズが薄く曇っていて、撮影するとコントラストが低下していて気分が悪い。豊かな階調を持つヘリアー型本来の写りを体験したくて、レンズを分解、「バルサム切れ修理」をやってみることにした。




最初の難関は接合レンズの剥離だが、すでに劣化していたため「熱湯で茹でて冷ます」だけで簡単に分離できた。分離したらキレイにして再結合。これが最大の難関。元の結合レンズは正確に芯だししてから端面を磨いてある。それをなるべく再現すべくレンズ2枚の合わせる向きをマーキングしておく。マーキングを合わせてずれなく接合すればなんとかなるかも。接合には UVレジン、アクセサリー製作用の黄ばみのないクリアーなものを使う。3dプリンター用よりも高価だが使うのは一滴だけ、小分けで買えるのはありがたい。


再接合はすごく上手くいった。薄曇りレンズがめっちゃクリアーになって気持ち良い。分解したレンズを組み立てて撮影してみよう。


まずは曇りを取る前。フレアがかってコントラストも低い。



右上隅の拡大


続いて、再結合してクリアになったレンズで。

シャキッとして、気持ちが良い。右上隅の拡大してみても、コントラストが向上、解像度劣化もなさそうだ。









発色が良くて、抜けも良い。花が生々しく豊かに写る。f4と暗いレンズだが、ボケもきれいだ。このPENTAX 100mm f4 MACROは、いまでは曇り玉ばかりでネット評価はあまり高くないが、ヘリアー型の美点を備えた名レンズだと思う。


ヘリアー型レンズ構成。持っているものをまとめてみました。







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