NIKKOR-N C Auto 24mm F2.8 傷んだコーティングを剥がす。Removing damaged lens coating.


1967年発売されたニッコールの24mmは、近距離撮影に対応するために、近距離補正の新技術を搭載した。今回の NIKKOR-N・C  Auto 24mm F2.8は、1972年にマルチコーティング化されたものになる。


詳しい話は、ニッコール千夜一夜が楽しい。

https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0014/index.html


ニッコールは定評があるので古くても価値があるが、これは前玉コーティング剥がれ、ヘリコイド スカスカのジャンクで安く購入できた。


フォーカスリングにゆがみがあり、さらにヘリコイドはスカスカで、フォーカシングにムラがあって気持ち悪い。


レンズ前側からフォーカスリングを分解してゆがみを直した。直進キーの穴からヘリコイドが見えるので、(横着して直進キーの穴から)グリースを注入した。


これで操作性は改善したが、問題はコーティングの剥がれである。

前玉コーティングが汚くはがれている。どんな影響があるのだろうか。


逆光の水戸黄門。普通によく写っているが、、、


変なゴーストがでる。

コーティングがはがれて出やすくなったゴーストに、剥がれの跡が出るようだ。これは対策したい。何とかして、剥げかけのものは剥がしてしまいたい。


まずは漂白剤。剥がすのは表面だけなので、ティッシュにしみこませて1時間くらい置いてみた。細かいところなど、少しは落ちたが、ちゃんと落とすには時間がかかりそうだ。

奥の手、禁断の「酸化セリウム」をつかう。スポンジにセリウムをつけて、慎重にそっと研磨してみた。

15分くらいの優しい研磨で、中心部分はコーティングを落とすことができた。

周辺は強固な感じで、なかなか落ちそうにない。中心部はきれいに落とせたので、これならどのように写るだろうか。


中心部のゴーストを拡大してみる。


絞れば周辺の汚いコーティング部分は影響ないようだ。第一面のコーティングがないのでゴーストはでやすいが、これなら悪くないのではないか。




このレンズには世界初の近距離補正機能がついている。
その効果で、近距離の描写は良い。

最短撮影距離は0.3m。前回のSIGMAの0.18mみたいにすごく寄れないのは残念だが、Nikkor 28mm  f3.5の0.6mよりは全然近く、不満は少ない。
背景ボケは2線ボケで少しうるさいが、そんなに悪くない気もする。ボケがざわつくところがニッコールらしい気もする。


古いレンズということもあって、色収差はでる。後ろ側の鎖が緑色になった。





少し絞れば、隅までしっかりうつる。ブロック塀をみると、陣笠の歪曲収差はあるようだ。



ニッコール千夜一夜で紹介される銘玉ですので、古くても写りは良いレンズです。
第一面のコーティングが無くなったので、ゴーストが出やすくなりましたが、ゴーストに映り込む汚くはがれたコーティング後は、少し絞れば気にならなくなりました。

ゴースト自体はでやすくなりましたが、作画に活用するつもりでいれば楽しめそうです。

最短撮影距離の0.3mは、実用的には問題ない近さですが、ぐっと寄りたいときにはもう少し近いといいなと感じました。(安く買える)理想的な広角、なかなか難しいものです。











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