ニコンミニの地味な妹、その実力。NIKON LITE TOUCH AF400 : The ability of a younger sober sister.

 よくできた魅力的な「姉」と地味な「妹」 

 でもその「妹」のレンズに注目してみよう。


コンパクト(フィルム)カメラのレンズは、コスト、大きさの両面からシンプルな構成になる。したがって無理なく設計しやすい35〜40mmの準広角レンズが多かった。


ニコンは1993年、画期的なフィルムコンパクトカメラ「af600」を発売した。

ニコン ミニ af600は、それまでよりも広角な28mmレンズを持ち、非常に小型軽量のボディを特徴とした。

https://imaging.nikon.com/imaging/information/products_history/1990/


1990年頃に光学ガラスの高性能化とコストダウンが進んだようだ。

ニコン ミニのレンズはミニマムな3枚構成だが、高級レンズ用だった高性能な低分散ガラスが使われている。一般的な準広角よりも設計の難しい広角レンズでありながら、素晴らしい描写をした(ということで評判がとても良い)


レンズ素材の向上による広角化、それによってレンズ焦点距離=レンズ全長がコンパクトになる、被写界深度が深くなりオートフォーカスのコストダウンもできる。

ポジティブ スパイラルになっていて、コンパクトな広角オートフォーカスカメラは、1990年代のカメラトレンドの一つになった。


ただ1990〜2010年はコンパクトカメラ激動の時代で、APSフィルム、小型ズームレンズ、使い捨てカメラ、デジタル化、スマートフォンの誕生と、トレンドは目白押しではある。


ニコン ミニ af600はヒットしたが、そんな優秀な「姉」に対して、地味な「妹」も翌1994年に発売された。


af400である。比べてみると残念ながらコストダウンだけが目的に見えるカメラだ。


コストのかかっていた高性能ガラスによる28mmレンズは、設計が楽な31mmに伸ばされ、沈胴式のメカニズムも省略されてボディは大型化した。コストダウンはしたと思うが、チープになり、ギュッと引き締まって輝いていた魅力も消え去った。


そんな地味なカメラだが生まれは名門、写りまでチープにはなっていないはず。人気もレビューもあまりないからこそ、ここで注目(分解・デジタル用に改造)してみよう。

分解してレンズを取り出す。レンズはaf600同様にミニマムな3群3枚。レンズの後ろに、絞り兼用のシャッターがくる構成。3枚のレンズは組み合わせて1つになっている。


ミラーレスのデジカメ用に改造する。
3Dプリンターで鏡胴を作る。レンズの後ろにターレット式の絞りをつける。開放f4と、f8。
M42マウントをつけて、フォーカスはヘリコイドアダプターを使う。


完成形。ノブを動かして絞り操作、開放f4とf8を切り替えるようになっている。レンズ名NIKON 31mmを入れたが、フォントはもう少し小さいほうがよかった。

さあ、撮影だ。

開放f4、右側が片ボケしている。

3群3枚のトリプレットレンズはシンプルだが組み立て精度が求められると聞いている。AF400も3枚組み合わせてあったが、それでも光軸がずれているようだ。なるべくf8に絞って撮ったほうがよさそうだ。

近距離で背景をぼかすならば、開放f4で問題はない。





あと、逆光には弱い。上の写真のように強い逆光でフレアが出るのはかまわないが(出ないと寂しい)、ちょっとした逆光でもフレアが出て「ハレ切り」を多用した。逆光には弱そうだ。






何か訴えているサギ。いつも小魚を取っているエリアが「かいぼり」していたので、言いたいことがあるのだろう。


幼稚園のアホペンギン。かわいい。






f8に絞った描写は、シャープで抜けが良く気持ちが良い。

さすがニコン、なのでしょう。コストダウンでいろいろ妥協しても、f8に絞れば描写力はバッチリです。
f4開放は中心部はよいのですが、周辺の片ボケが惜しい感じです。3群3枚のトリプレットの広角なので、周辺はボケて当たり前と思っていましたが結構ちゃんと描写します。片ボケさえなければ、すごいレンズなのに惜しい。

「姉」のニコンミニ AF600は(使ったことはありませんが)欠点のない描写をするということですが、「妹」のAF400 はとても良いんだけど完ぺきではない感じです。

でも、さすがニコン、決まればびしっと写りますね。


今回レポートするにあたって、はじめは「兄」と「弟」で書き始めましたが、かわいらしいカメラのスタイルから姉妹に置き換えました。ところで妹のAF400ですが、日本語の情報がありません。日本では発売されなかったかもしれません。









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