半世紀前のフィルムカメラ、オリンパス PEN の大口径レンズを比較する。
オリンパス PENは、1959年にスタートしたハーフサイズのフィルムカメラシリーズで、1962年には高級コンパクトのDを発売した。特徴は高級な4群6枚構成の大口径レンズ、F.ZUIKO32mm f1.9である。
1964年には同じF.ZUIKO32mm f1.9を搭載したD2にモデルチェンジしたが、ライバルが軒並みf1.7のレンズを搭載してきたこともあって、翌1965年には新型D3で F.ZUIKO32mm f1.7 に変更になった。
D3まで高級機シリーズのDはマニュアル露出であったが、ライバルはすでに自動露出になっている。遅れていたオリンパスは、1967年のEEDで自動露出化した。レンズはD3と同じスペックのF.ZUIKO32mm f1.7。
ところがD3とEEDではレンズシャッターユニットが違うため、レンズが設計変更されている?といううわさもあるが、まだ検証していない。
このEEDが最後のハーフサイズ高級コンパクトとなった。(ちなみに1963年からはシステム一眼レフのPEN f シリーズもあったが、ここではコンパクトカメラに絞っている。)
今回もレンズを分解、Eマウント改造したものを、デジタルカメラで比較する。同じズイコー、同じレンズ構成なので、描写が似ていて使い分けるのに比較しておきたかった。
最初の32mm f1.9 (モデルは2代目のD2、たぶん初代Dと同じレンズ)と
最後のEED、32mm f1.7の2本である。
巣箱の部分を切り抜く。逆光には弱いようで、全体にフレアがかってコントラストが低下している。ボケは口径食が大きくエッジのあるバブルボケだ。
これも巣箱の部分の切り抜き。
絞ればクリアーでシャープ。f1.9のレンズよりも一段シャープな気がする。よいレンズだ。
どちらもよいレンズで、比べてみると描写は大変良く似ている。
オールドレンズらしく、開放ではフレアーのある優しい写りをする。雰囲気もよく拡大してみると細かいところまできちんと解像している。少し絞ればコントラストは向上してクリアーでシャープになる。ズイコーらしく癖の少ない優等生のレンズだ。
どちらもエッジの強調されたバブルボケ、いわゆる球面収差の過剰補正タイプだが、ボケにはフレアーがあって2線ボケは気にならない。きれいにとろける。
よくみると、ボケには違いがある。開放f1.7のレンズは芯のあるバブルボケとなる。開放f1.9のほうが素直なバブルボケだ。どちらも像面湾曲と口径食があるので、画面隅になるとボケは変形して小さくなる。
2つのレンズを開放で比べても、ボケの大きさはあまり変わらず、f値の違いを感じさせない。開放f1.7の欠点はチープな2枚絞りで、絞ると汚い四角形になる。開放f1.9は5枚絞りで綺麗な5角形になる。
結論としては、どちらも雰囲気の良いオールドレンズだが、ボケを気にするのなら5枚絞りの開放f1.9のレンズのほうがよい。一方シャープさはf1.7のほうがあると思う。
ボケかシャープかで選ぶ感じですね。
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