Canon Demi S 30mm f1.7 :結構ボケて絞りで描写が変化、楽しめるオールドレンズ The old lens that is quite bokeh and the rendering changes with the aperture, making it an enjoyable old lens. 

 35mmフィルムのハーフサイズカメラは、1959年にオリンパスによってマーケットが造られた。

カメラ最大手だったキヤノンは、1963年、各社のモデルがほぼ出揃ったタイミングで他よりも高スペックなCanon Demiを発売、人気となった。翌1964年、高性能版であるDemi Sも投入した。明るく描写の良い30mm f1.7レンズが特徴で、そのレンズのデジタルカメラ向け改造が今回のテーマである。


購入したカメラはジャンクなのでボロいが、良いデザインである。
納めどころの難しいセレン光電池を向かって右上、通常はファインダーのところに違和感なく配置している。ファインダーがポイントだ。高級で対物レンズの小さなケプラー式を、視差の少ないレンズ直上に目立たなく置いた。ファインダーの要素がなくなってシンプルにまとまった。高品質なアルミプレスで、丸みのある形が可愛らしいデザインだ。

少し残念なのはレンズ周辺の白い化粧板。レンズの外径よりも大きなレンズシャッター機構を収めるために余白がでるのだ。白い化粧板は軽快ではあるけど、デザイン処理で困った結果にも見える。( 通常はここにデザインの厄介ものであるセレン光電池を配置することが多い。)

開けると汚いジャンクを分解する。小さめのレンズボードについたレンズ一式を外す。


レンズシャッターは閉じたままなので、開放化作業をする。レンズ前側から分解。

今回はシャッター幕や絞りに油がまわって貼り付いていたので、掃除がてらシャッターユニット全体を取り払った。ちょっと複雑だが絞りリングで絞れるように調整して完了。

30mmと短いレンズなのでフォーカス調整機構のためのスペースは少ない。ヘリコイドはストロークがたっぷりあり、そのまま活用したいが長すぎる。ミラーレスのソニーEマウントでもボディと干渉してバックフォーカスが足りず、無限遠がでない。


ヘリコイドの直進キー部分を糸鋸で切り落として、回転ヘリコイドフォーカスで妥協することにした。( 回転ヘリコイドだとフォーカス時に絞りリングごとまわってしまう。絞りを決めてからフォーカスすることになる。)

レンズ鏡胴後部とEマウントを繋ぐ部品は3Dプリンターで無限調整をして製作、レンズを回し過ぎて落ちないように回転ストッパーも付けている。



4枚絞りは4角形に絞られる。もう一枚足して5角形ならよかったのに。

レンズユニットはしっかり固定されているので、今回分解していない。埃がはいったまま。レンズ表面にも多少傷もあるが曇りはない。まあ問題ないかな。


レンズ周辺の白い余白が気になるので、鏡胴を延長する。フードになる程ではないが、一般的なサイズのレンズキャップが使えるようにした。


ハーフサイズのレンズは、APSデジタルとイメージサークルがほぼ同じで相性が良い。30mmは換算45mmで、標準レンズになる。コンパクトにまとまって、持ち歩きが苦にならない。


開放で、周辺まで解像するが、フレアのかかった描写になる。



前ボケはフレアがかかったように大きくボケる。球面収差を過剰補正でまとめているのだろう。後ろボケは輪郭が強調されているが、うまくフレアがかかってうるさい2線ボケにならずにすんでいる。よいバランスで、キヤノンらしい描写な気もする。


f2.8に絞っている。一つ絞るとかなりシャープになるが、絞りの形がでて四角いボケになってしまった。ぼかすなら開放で撮るのがよい。




本来の最短撮影距離 (0.8m) よりも大幅によっているが (0.4mくらい)描写は問題ない。ガウス4群6枚、対照型のレンズ構成は近距離にも強い。






西洋美術館のヘラクレス。力いっぱい弓引くのがかっこいい。だけど、その弓、自分で持っているから足に力を入れる理由はない。



絞り開放で夜景をとると、周辺にかけて球面収差でフレアになっているようだ。大きな球面収差が残っているのが特徴なのでしょう。





絞りを開放にすると、大きな前ボケとフレアがかった優しい描写が特徴です。
絞れば、コントラストもよくきりっと描写します。
ボケにくいハーフサイズ用30mmレンズですが、明るさと球面収差で結構ボケます。
絞りによる描写の変化は、オールドレンズを使う醍醐味ですので、撮影は楽しめました。
















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