伝説のタムロンとそれに対抗したシグマの90mmマクロを比較する。
カメラレンズの大手、シグマとタムロンは大手カメラメーカー互換のレンズを売るビジネスのライバルである。タムロンは高倍率ズームが得意で、OEMも多い。そしてこの90mmマクロの「タムキュー」が看板商品。初代は1979年発売の52B型で、マクロでありながら一般撮影もこなせる描写力でブランド化した。この52系はマイナーチェンジをしながら1996年まで続き、72系に更新した。その後2013年のフルチェンジで現在に続いている。
私の持っている「タムキュー」TAMRON 90mm f2.5は1990年製の52E型。初代52Bでも人気があって高価だが、初期AF用の52Eは、現在AF対応するカメラがなく、マニュアルフォーカスリングも狭いので人気がない。だから最も安く手に入る。それでいて光学性能は定評ある52系なので問題はない。
ライバルのシグマはカメラも作る総合メーカーであることが特徴。デジタルになってからは独自のセンサーを軸に個性的なブランドになったが、それ以前は特徴を出すのに苦労していたと思う。今回のテーマはタムロンの「タムキュー」に勝負を挑んだ1988年製のSIGMA 90㎜ f2.8MACRO である。
タムロンは一般撮影が得意なポートレイトマクロというジャンルを作った。それにはレンズの明るさも重要でf2.5となっている。それに対してf2.8のシグマはコンパクトさが売り。大きさは圧倒的に小さく、マクロとは思えない。
歴史では、モデルが継続するタムロンの勝ちだったと思うが、現代のデジタルカメラならばどちらが楽しくとれるだろうか?
右側、f2.8のシグマはコンパクトなだけでなく、334gと軽い。距離表示や余計なグラフィックを消したため精悍な印象になった。
左側、タムロンはf2.5と1/3絞り明るく、405gと重くなっている。鏡胴はプラスチックだが造りは良い。モダンデザインだった初代52Bほど個性がないのは残念。AFレンズでフォーカスリングは先端の細いところになる。見た目ほど回しにくくはないが、妙に軽くギアノイズが気持ち悪い。また下に向けると自重で伸びてしまう欠点もある。さてどちらが楽しめるか撮りくらべてみよう。
まずはTAMRON90㎜ f2.5から
比較するSIGMA90mm f2.8
シグマの欠点は色収差だ。紫と緑のフリンジが少し出ている。少しなので気になるシーンは少なかったけど。
TAMRON90㎜ f2.5
SIGMA90mm f2.8
TAMRON90㎜ f2.5
sigma90mm f2.8
TAMRON90㎜ f2.5
これは、手ぶれしてますね。
sigma90mm f2.8
すべて開放。ボケはSIGMAのほうがきれいな感じがするが、TAMRONのf2.5、1/3絞り明るい分大きくボケて、その差はけっこうある。
コントラストはシグマのほうがあり、タムロンは優しい描写だ。
TAMRON90㎜、f4に絞って撮ってみる。9枚の円形絞りで、ボケの形は丸い。
SIGMA これもf4にしぼって。シグマは6枚絞りで、ボケが6角形になってしまう。
sigma90mm f2.8 開放
どちらもよいレンズです。ボケ質はシグマのほうが良いかな、とも思いましたが、タムロンのほうがf値が明るく大きくボケること、円形絞りであるなど、ボケを重視するならタムロンのほうが良いです。
描写はシグマのほうがコントラストがあり、立体感のある写りです。タムロンはコントラストが少し低い分優しく、色がきれいに出ます。
操作性はMFレンズのシグマがちゃんとしたフォーカスリングを持っていますが、回転角に対してフォーカス移動が速すぎて、離れた被写体は苦労します。
AFレンズでマニュアルフォーカスするタムロンは、細いリングですが回転角も速すぎないのでマニュアルで使えます。しかしAFのために軽すぎでありギアを回す感じは気持ちよくありません。
どちらが良いレンズか、と聞かれればタムロンと答えるでしょう。ではどちらが好きか、というとシグマです。立体感のある描写は好きですし、何よりも圧倒的にコンパクトです。シグマの欠点は色収差で、被写体によってはフリンジが少しでます。これはコンパクト化した弊害なのでしょう。6枚絞りの6角形のボケは、場合によっては致命的な欠点かもしれません。その時は開放で撮るとしましょう。
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