安価で高品質な中望遠テッサーレンズ。EL-NIKKOR 75mm f4: An inexpensive, high-quality medium tele Tessar lens.(it's an enlarger lens.)

 さてこのレンズ、実は6×6ブローニー用なので標準画角、中望遠ではない。しかも撮影用でもない。プリント用の引き伸しレンズなのだ。

引き伸しレンズはフィルムを忠実にプリントするのが目的なので、引き伸し機に合わせて、50cm前後の距離に描写力を合わせている。フォーカスリング、自動絞りを持たない構造はシンプルでコンパクト、それでいて高性能ということだ。

このレンズは3群4枚のテッサー構成。シンプル構成ながら高性能な描写を得るために、開放f4に抑えたスローレンズだ。

引き伸しレンズはL39ねじマウントのため、一般的なM42 マウントに変更すると便利だ。
ネジに被せる L39-M42アダプターが良い。
さらにフォーカスのためにヘリコイドアダプターをつけて撮影用にする。
SONY a  には薄型のM42マウントアダプターを付け、25mm-52mmのM42ヘリコイド中間リングと14mmの中間リングを組み合わせた。これで5mmほどのオーバーインフである。
さて、どのように写るか… 35mmフルサイズのSONY a7(初代)に装着してみる。
75mm中望遠マクロレンズとして使えるが、25-52mm +14mmの中間リングだと寄れるのはここまで。オーバーインフ5mmを解消すればもう少し寄れる。





シャープでクリア、メリハリの効いたテッサーらしい写り。さすがニッコール。フォーカス部の立体感、背景に対しての浮き上がりも良い感じ。
拡大してみても2400万画素のカメラなら、開放から充分に解像している。


f4開放でも、中央は全く問題がない。右上隅を拡大してみる。

ちょっとフレアがかっているが、充分に解像している。

次はf5.6に、ひとつ絞ってみる。


充分によく写っている。ちょっと流れやフレアがあるようにも見えるが、3群4枚のテッサーレンズだと思うと、すごくよいレンズだと思う。


ボケは微妙な時がある。ひどい2線ボケにはならないが、ボケているのにコントラストがしっかりあって、存在感が弱くならない。


細かいもののボケは、汚い時がある。溶けないでノイズになっている。


背景がこのくらい離れればボケも問題ない。






75mmは自然な画角で、長めの標準レンズの感覚だ。通常のマクロレンズにはない焦点距離で、標準ズームがライバルになる。
長所はコンパクトで軽いこと。メリハリの効いた立体感で気持ちよく写る。さすがニッコール、よくできたテッサーだ。解像度は2400万画素くらいならば問題ない。
欠点はボケで、メリハリが効いてしまって妙な存在感があったり、汚くなる時がある。うまくいけば素直にボケて気にならない。
コントラストの強さが裏目にも出て、シャドー部は潰れ気味になる。逆光も弱い。ボケも逆光も、引き伸ばしでは関係のなかった環境なので仕方がない。
私個人としては、軽いレンズが好きなので、気持ちよく撮影できました。














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