F.Zuiko 32mm f1.7 OLYMPUS-PEN EED 小さいフォーマットの魅力



オリンパス ペン シリーズはカメラの低価格化が始まってきた1959年に発売された。
超安いカメラを開発せよ、という会社のオーダーに対して、当時入社3年目の米谷 美久さんは、フイルム代が半分になるハーフサイズを、それによってレンズも小さくなってコストダウンになるという選択をする。
稀有のコンセプターでもある彼は、高級カメラ「ライカのサブカメラ」、というコンセプトをたて、それによって安物カメラではなく、ペンでメモするように気軽にたくさん撮れる、という価値を与えることに成功した。そこでキーとなるのはレンズ性能で、フォーマットサイズでコストダウンしてもレンズ自体は高性能にこだわり、それがペンシリーズ共通の長所になった。

このオリンパス ペンEEDが生まれたのは1967年で、カメラの自動化の流れが始まっていて、このカメラにも露出の自動化がくみこまれた。
特徴は、f1.7の明るいレンズ。フラッシュライトが一般的になる前は、屋内で撮るために明るいレンズが求められてた。しかし32mmとはいえ、f1.7のレンズのフォーカスを目測で合わせるには結構無理がある。かといってこれにレンジファインダーのメカニズムを加えたら、35mmフルサイズの価格になってしまう…。
このように最初から8年たって、コンセプトが煮詰まってきている。そしてこの後、コンパクトなフルサイズカメラに、ペンのマーケットは飲み込まれていくことになっていく…。



ハーフサイズは、APSデジカメとほぼ同じで相性がいい。32mmレンズはヘリコイドアダプターを組み合わせる余裕がなく、直接Eマウント化した。無限遠を合わせるためのスペーサーは、ジャンクパーツからちょうどいい(真鍮製で金色 (^-^*) があったので流用。
 ヘリコイドの回転角は可能な限り延長して、最短撮影距離は0.8mから0.5mに短縮した(もうちょっと寄りたいけど)。


このEEDはプログラムオート自動露出を実現するために、絞り兼用のレンズシャッターを採用している。その結果、2枚絞りで、変な形になってしまった。同じ明るいレンズを採用したDシリーズは5枚絞りできれいだったのに。
では、撮影です。

周辺減光の原因は、デジタルとの相性(テレセントリックに考慮がないから)だと思う。

明るいレンズは夜でも普通に撮れる。コマ収差が出て弱いフレアがかかるが、芯はある
ボケはシャボンになっており、2線ボケになる傾向があるが、うるさくはない。

立体感もよく出ている。さすがズイコー。小さいフォーマットでもしっかりとした描写だ。


絞ると4隅までかっちり。


鉄腕アトムの脚。ロケット噴射のつもりらしい。
ボケはやはり2線ボケで、悪くないけど特徴的になりやすい。

絞るとボケも安定する。
絞りが変な形のせいで、中途半端に絞れないのが残念ですが、ボケがきれいで立体感もあり良いレンズです。同じダブルガウスのF.ZUIKO 32mm f1.9とどちらが良いか。どちらも似た傾向で f1.9のほうが気持ちシャープですが、ボケはf1.7が大きく楽しく撮ることができました。APSサイズも、気楽に撮れていいですね。

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