マミヤ・セコールのレンズの味  マミヤ35S2 MAMIYA-SEKOR 48mm f1.9 (NEW)

 マミヤは1950年代後半から1960年代前半にかけて、35mmレンズ固定式のレンジファインダーモデルを積極的に展開、毎年モデルチェンジを繰り返した。さらに露出計の有無、レンズの普及と高級版というバリエーションがあったため、モデル数が多く、とても複雑だ。
    このカメラは、たぶん1960年製マミヤ35S2の高級版で、セコール48mmf1.9がついている。
 前に取り上げたマミヤ35メトラ(1958年製)も新開発のセコール4.8cmf1.9がついていたが、その2年後のこのS2も新型の違うレンズになっている。比べてみて、前玉が大きくなっているので気が付いた。
 調べてみると、メトラのレンズがマミヤ独自の構成だったのに対して、このS2は当時の新素材である酸化ランタンガラスを使用したダブルガウス構成になっている。当時の広告をみてみると、そのランタンガラス/新設計を売りにしていて、写りには期待ができそうだ。


 もともとのフォーカスは使わないで(レンジファインダーは最短撮影距離が長すぎる)ヘリコイド中間リングを使う。レンズを外すには、後群レンズユニットをはずし、留め付けリングも外せばよい。一般にレンズシャッターカメラの留め付けリングは25㎜ねじなので、それを使ってM42マウントにし、中間リングを取り付けた。さて新素材を使った新型レンズ、写りはどうだろうか。
F5.6、ボケは中間域でグルグルしている描写は良くて、背景から浮き立つ。
大きくぼかせばグルグルしない。不思議な味が出た。


安定して、繊細な写りをする。あまり気にならないが、4隅だけは甘くなる。



F8、絞れば全体にきれいに写る。




逆光には弱く、フレアーが発生する。味が出るので、弱点というわけではない。

 この新型セコール48㎜ f1.9 旧型よりも繊細に写るようになったようだ。旧型の力強さも良かったので、「個性」の範囲だろうか。
 一方、フォーカスがあった部分の浮き上がり、立体感は共通の長所だ。発色もすごくいい
 マミヤ・セコールは、個性的な構成をしていながら長所が共通している。描写をコントロールしている、と考えると素晴らしい設計力があったと思う。


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