オールドレンズの魅力は、球面収差の補正のバランスに個性があること。
写真用レンズには収差が残っていて、中でも球面収差の補正は難しい。そしてそれがレンズの「味」でもある。もっとも、オールドレンズでもフォーカスされた部分がきちんと写るのはあたりまえで、味となる個性は主にボケた部分に現れる。一般にボケを綺麗にするには球面収差を補正不足(アンダーコレクション)気味に調整するのが良いと言われている。だがレンズの明るさを欲張ると球面収差は増大し 、そうなると過剰補正(オーバーコレクション)で調整しないとバランスしなくなるようだ。
そうすると欠点もあって、
過剰補正のレンズは、うるさい2線ボケになりやすい。
でもその欠点を絶妙のバランスでうまく処理したものもある。うるささいボケをフレアでとろかして、きれいなボケにしたものもある。また、エッジの光った円形のボケでキラキラした感じのものはバブルボケとして特殊能力として評価されている。
1965年製のRICOH SUPER SHOTについているレンズ、
富岡光学製 RIKENON 43mm f1.7 は極端な過剰補正をしていそうで気になっていた。他のレンズに比べてボケの量が前後非対称で、前ボケが特徴的に大きいのだ。
球面収差が過剰補正だと、フォーカスの前側は素直に大きくボケるが、後ろ側は複雑に光線が集まり大きくボケにくい。RIKENON 43㎜ f1.7は、かなりの過剰補正なのではないだろうか。
フルサイズ(SONY a7)の作例。開放では前ボケが大きく、後ろ側はボケが小さくフォーカスの位置が曖昧だ。周辺減光はかなりある。
ミラーレスカメラ用に改造
レンズ固定のコンパクトカメラなので、ミラーレスカメラ用に改造する必要がある。
ゼンマイ巻き上げの凝ったメカが特徴的なカメラだがレンズ固定は一般的な、レンズシャッター機と同様だ。レンズを固定している25mmナットをフィルム室から外せれば、レンズをはずすことができる。ナットを廻すのは「カニ目レンチ」だが、私はダ○ソーのラジオペンチの先をヤスリで尖らせたものを使っている。安い鉄なのでやわらかく加工しやすい。
フォーカスはオリジナルのものは寄れないので使わない。M42マウントをつけてヘリコイドアダプターを使う。M42マウントのついたステップアップリングがアリエクとかで手に入るので、工夫すればあまり加工しないでM42マウント化できる。
難しいのはレンズシャッターの処理だ。絞り兼用のレンズシャッターで、改造する必要がある。私はうまく絞り操作ができるように改造できたが、どうすればいいかはうまく説明できない。いろいろ試行錯誤したらうまくいった。
改造がうまくいかなければ、絞り開放専用で使えばいいのではないかと思う。
今回はAPSデジタルカメラで、長めの標準レンズとしてボケを気にしながら撮ってみよう。
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