TAMRON SP 500mm f8 : 反射望遠レンズで気楽に鳥撮り / The lens for easy and rough shooting of birds.

小さいからできること

カメラはコンパクトな方が良いが、機能が犠牲になっては持つ意味まで減ってしまう。それでも一眼レフのレンズには、機能を犠牲にしても小さいだけが取り柄、というレンズがある。ひとつは小さなパンケーキレンズ。写りは良いものもダメなものもあるが、操作性や明るさは劣っている。一眼レフを小さく持ち運びたいニーズに応えた製品だ。

反射望遠レンズ、これがもう一つで今回のテーマである。写りを割り切って超望遠レンズを超コンパクトにした製品だ。内部に反射ミラーを2枚持つことで光路を折りたたんで全長を小さくしていた。小さくすることで、三脚を使わない手持ち撮影にも対応できたところが売りだった。ところが、持てるから撮れるというわけではない。揺れる超望遠ではフォーカスも合わないし、手ブレもする。写りの欠点も多く、クオリティが低くなりがちで、遊びで使うレンズだったようだ。 

でもデジタルになって、センサー感度が可変になって、固定絞りでも問題がなくなった。感度を上げれば手ぶれも怖くない。連写で撮りまくっても、デジタルではお金がかからないから数打てば当たるかもしれない!反射望遠レンズの敷居と値段が下がったので、安いジャンク品を買ってみた。


TAMRON 500mm f8 モデル55B

1979年発売、当時評判の良かったモデルだ。


ジャンクの理由はカビとバルサム切れ。レンズを外してカビ掃除をする。

前玉を外すには直径80mmのゴムが必要だ。前玉を留めている脆弱そうなカニ目リングは、ゴム以外で回すとトラブルの予感がする。だからホームセンターで80mmのテーブルゴム足を買ってきて、前側から分解した。



前玉の張り合わせも、バルサム切れかけている。大きなレンズの中心部に小さなレンズの貼り合せ。再接合するのに、光軸を合わせる自信がないのでそのままにする。前玉と主鏡レンズのカビだけ落とす。

このレンズはガラスの裏面を反射鏡にしているので、カビが生えているのはガラス面。安心してカビキラーで湿らせ、カビを落とす。

パッケージの箱にあったレンズ構成図を参考に、ラフな構成図を書いてみた。鏡面はレンズの裏側に蒸着されている。4群7枚のレンズ構成を見ると屈折レンズも多い。
どんな構成なのか分かりにくいので、鏡の反射で折り畳まれた光路を広げてみた。
  1群凸  2群凸(鏡) 3群凹(鏡) 456群凹凸?凸   (フィルター)

光路を広げてみると、実質的には6群13枚の長大構成が畳まれてることが実感できる。
レンズ構成的には、変形ゾナーかな、と思う。ボケは構成の個性が出やすいが、中心部が副鏡に食われているので、ドーナツボケになる。

反射望遠レンズの欠点は(いろいろあるが)、光路が複雑で、迷光が反射鏡部で侵入してフレアになってしまうこと。購入時に付いてこなかったので、フードを製作する。 82mmのフィルター枠にプラ板を円筒形に貼る。その内外に、合革を貼って完成(色は黒の方が良いが、100均にあった紺色にした。黒よりも軽くは見える。)
鏡胴に対して内径を気持ち大きくすれば、逆さにして収納できる。


さて、コンパクトという長所がありながら、進化に取り残されてマイナーになったレンズ。使ってみましょう。

超望遠で鳥を撮る。

慣れない超望遠で何を撮るか、鳥くらいしか思いつかない。近所の公園に持って行く。

高級高性能なバズーカレンズを持った鳥撮りの方々がいて、彼らのテリトリーに入った気がして気が引ける。こちらは遊びですから。あちらもそうか。いや、写りはどうでもいいんですよ (まったく訳わからない)。なんかコソコソ撮りたくなる。こういう気分の時、バッグに隠せるコンパクトさはありがたい。

シャッターは1/1000秒にする。デジタルはISO可変で高感度が使えるから手ブレの心配は無くなった。
鳥は撮り易いカモさんから。


ピンボケだが、水飛沫のドーナツボケは面白い。

フォーカスを合わせるのは、難しい。
・フォーカス面は極薄で、しかも描写のメリハリが弱く、ピーキングが効きにくい。
・画面が揺れて拡大フォーカスもやりにくい。
・調整しながら数打てば当たる式で撮影するが、連写音をさせるのは恥ずかしい。


体が大きく、ゆったりとした動きで狙い易いサギさん。


これは、ウ。

飛んでいるところは、ピンボケ気味。



さいごはヒヨドリさん。背景は2線ボケで、キレイとは言い難い。

難しいけど楽しめる。
さて、ミラーレンズ往年の名珠、タムロン55Bを使っての感想です。
ふだん100mm以下しか使っていないので、500mmは異次元の非日常感覚です。近くまで寄れるのも面白い。
大きめの標準ズームくらいの大きさなので、無目的の散歩に持っていく気になります。超望遠スナップ。とりあえず持っていけることが、この小ささだからできることなのでしょう。

面白いレンズですが、欠点もたくさんあります。レンズ接合部のバルサム切れが原因かもしれませんが、シャープさは不足しています。現状だと望遠レンズをクロップして使うのと差がないかもしれない(高級レンズなら負けている)。
やはり、写りを気にしたら使えないレンズだと思います。望遠鏡をのぞく感じで気軽にスナップする非日常。道徳的?には鳥や虫しかスナップできそうもありませんが、そんな行為も面白そうです。


追記。その後も使ってみて、持ち運びが苦にならない大きさで、楽しく撮れます。

鳥は表現が豊かでかわいいですね。

カモのシンクロ。


ハンティング中のサギはゆっくり、ゆっくり歩きます。


ウのコント。相手の目の前で羽をバサバサ乾かして、それを受けて  のけ反っています。
見ていて面白い。

超望遠スナップ、面白いです。相変わらずピンボケばかりで歩留まりは悪いですが。
















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