「写ルンです スーパースリム」 もっとも普及したapsフィルムカメラではないだろうか。
コダック倒産前の最後の提案 aps(IX240)フィルムは、デジタル移行期におけるアナログフィルムシステムだったが、中途半端でユーザーベネフィットがわからず、たいして普及せずに終わった。
利点のわかりにくいAPSフィルムだが、35mmよりも一回り小さな画像サイズは大きさと画質のバランスが良く、カメラ全体をコンパクトにできる。このFUJIFILMの「写ルンです スーパースリム」はコンパクトにできることだけをアピールして成功した。
(本家であるコダックのAPSカメラにはコンパクトさを活かした製品はない気がする、、、たとえばこの高性能な単焦点レンズを搭載したADVANTIXも35㎜コンパクトカメラより大きい。フィルムの持つ複雑な機能をへたに搭載するとサイズが大きくなってしまう、、、)
フィルムサイズが小さくなったため、レンズ性能は重要だ。この「写ルンです スーパースリム」ではプラスチック非球面レンズを2枚使うことで高画質化している。その画質はデジカメで撮影するとどうなのか。それが今回のテーマである。
いい加減なレンズ構成図。多分こんな感じ。実際のレンズ面は複雑な非球面になっていて、難しい。絞りは2か所にあるが、真ん中のものはフレアカッターだろう。
このレンズを分解、デジカメ用に改造する。
真ん中が第2レンズと後ろ絞り。右側が第1レンズと中間の絞り(穴の空いた紙)
バックフォーカスは19mmくらいで、レンズの直径も小さい。Cマウントにするとちょうどいい感じだ。そのままCマウントアダプターでデジカメに装着して「写ルンです」同様に固定フォーカスでもいいとおもう。でもクローズアップも撮りたいので、今回はヘリコイドアダプターにしてみた。
Cマウントを奥まらせるかたちで、ヘリコイドアダプターを製作。
まずはフルサイズで撮ってみる。やはりフルサイズはカバーしていないが、中心部はそこそこ写る。周辺になるとだんだんぼけてくる。やはりAPSデジカメ用によさそうだ。
APSフィルムはAPSデジカメとほぼ同じなので、そのまま使える。24㎜広角レンズ(換算35㎜相当)になる。
もともと軽くて小さなAPSデジカメに軽くて小さなレンズは気持ちがいい。f10と暗いレンズなので明るいところでとってみよう。
周辺減光と色かぶり。改造工作精度の問題で左右に差がある。修正はむずかしく、これを「味」とするかどうかでレンズの評価が決まる。
チープなレンズなので、逆光だとフレアがかる。そして、糸巻き型の歪曲収差。
これはもともと「写ルンです」がフィルムを少し湾曲させて装着していた(像面湾曲修正のため)ことが原因だと思う。センサーは平面なので写りに差が出る。「写ルンです」ではこれほど歪曲していなかったはずだ。
逆光だとフレアがかるが、順光だとコントラストが高い。クローズアップの描写も、結構いい。
薄暗くなると、f10は如何ともし難い。iso3200 で0.3秒。オールラウンドには使えない。
極めてチープな、でも高度な技術から産まれた2群2枚のプラスチック非球面レンズ。改造レンズにしても、「写ルンです」味の描写で、そこそこ写ります。
とても楽しく撮影できました。
あと逆光には弱いので、じゃまにならないサイズのフードを付ける予定です。
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