OLYMPUS SC / G.ZUIKO 4.2cm f1.8 : デジカメと相性の悪いレンズの原因、センサー前にあるフィルター問題を遊ぶ。The filter in front of the sensor of a digital camera is the cause of lens image curvature, but I'll play around with solutions.

フィルム用のレンズを改造してデジタルカメラで撮影すると、像面湾曲で残念な描写になることがある。像面湾曲はフォーカスが画面全体で均一に合わない症状で、中心と周辺で違う距離にフォーカスが合ってしまう。

その原因の一つは、カメラのイメージセンサーの前にあるフィルターだ。必要な機能のためにフィルターには厚さが必要で、その厚さが光学的に影響する。斜めに入る光を屈折させるため、画面周辺ほど焦点が伸びて、マイナスの像面湾曲が発生するのだ。(デジカメのセンサースタック問題)


デジカメとの相性が悪くて発生する像面湾曲は仕方がないが、裏技の対策方法がある。クローズアップレンズでプラスの像面湾曲を生じさせて、プラスとマイナスで毒を持って毒を制しようという反則技だ。そのままだと近距離専用になるが、もともとが改造レンズ、無限遠が出るようにバックフォーカスを再調整すればいい。


ソニーaはフィルター厚が2mmほどあるらしく、フィルム用コンパクトカメラレンズ、広角30mm以下は相性の悪いものが多い。さらに標準域でも大口径で影響のあるレンズがある。

G.ZUIKO4.2cmは、5群7枚の贅沢な構成を持つ名レンズだ。1963年製オリンパスSCについていたレンズで、デジタル用に改造した。周辺までシャープな像を結ぶが、ソニーa7で撮ると相性が悪く像面湾曲が発生する。まずはこのレンズにクローズアップレンズをつけてみよう。

ネットで他レンズの例を調べてみると、クローズアップレンズは焦点距離1m以上のものが良いらしいが、レンズによってちがうはずだから、何がいいのかわよくわからない。実験してみよう。

フィルター径49mmが良いのだが、52mmのニコン純正No.0(焦点距離1.4m)を用意した。これは昔のズームレンズの遠かった最短撮影距離をカバーする目的で作られたようだ。これをステップアップリングを介して装着する。

G.ZUIKO4.2cmの改造レンズは、m42ヘリコイドアダプター(13-22mm)で撮影できるように調整してある。このヘリコイドアダプターを短くすれば、クローズアップレンズをつけても遠距離撮影できるだろう。

ヘリコイドアダプターは短い10mmスタートのものを手に入れた。10mmスタートだとライカL39 マウントからEマウントへのヘリコイドアダプターにも使えるので汎用性は高い。

まずはクローズアップレンズのありなしの比較。
微妙ですが、クローズアップなしは4隅が小さく歪み、像面湾曲で隅の部分にフォーカスが合ってしまう。
クローズアップをつけると、像面湾曲が弱くなり画像がすこしフラットになった気がする。


隅の描写力はどうだろう。クローズアップレンズなしのときの右上隅の拡大。開放からシャープに写って、とても良いレンズだと思う。これで像面湾曲がなければ、、、


クローズアップ付きの右上隅の拡大。シャープさは落ちている。余計なものをつけると劣化するのは仕方がないでしょう。


これもクローズアップレンズありなしの比較で、交互に表示している。せっかくの大口径、開放f1.8だが、そのままデジカメに付けると、背景のボケが像面湾曲で隅までいかない。隅では背景なのにフォーカスが合ってしまう。
その一方クローズアップレンズを装着すれば、背景はなんとか隅までボケをキープしている。
像面湾曲、という視点ではもう少しクローズアップレンズの度数が強くてもいいのかもしれないが、画像はより劣化する。このクローズアップレンズ(ニコンNo.0)がいいバランスな気がしてきた。



像面湾曲はまだあるが、「ボケたはずの背景にピントがあう」症状はだいぶ改善した。



もともとのレンズが高性能だったこともあり、クローズアップレンズをつけてもシャープな描写は保っている。このG.ZUIKO 4.2cm f1.8には、クローズアップレンズをつけっぱなしでいい気がする。



次回は、像面湾曲が残念だったもう一つの大口径レンズ、YASHINON 45mm f1.4についても実験する予定、、、






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