ヘキサーのヘリアー KONICA II B / HEXAR 50mm f2.8 : The Heliar type lens with Konica Hexar brand.

今回のテーマであるヘリアー( 3群5枚のレンズ構成) は、120年前、1900年にうまれたトリプレットの改良型である。(トリプレットは3群3枚のレンズ構成。現代のレンズもこの発展形であることが多い)

ヘリアーは当時からスペックよりも写りの質の高さを売りにしていた。シャープでヌケが良いのに、固くならずに豊かに写る。人物写真用の最高級レンズでもあった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC

しかし当時は高品質だったとしても、時代の変化にはかなわない。より低コストのテッサー(3群4枚レンズ)は新素材の高性能光学ガラスによってパワーアップし、より明るいガウスタイプ(4群6枚レンズ)はマルチコーティング技術で、ヌケの良さを獲得した。テッサーより高価でガウスよりも暗いヘリアーは、一部のマクロ用を除き1960年代には商品性を失う。戦後日本におけるヘリアー型レンズは1950年代が中心となる。


コニカ(小西六)は、150年前、明治6年に生まれた老舗光学機器メーカーである。日本写真史そのものという歴史で、上記の超高級だった初期ヘリアーの輸入販売も行っていた。

今回のカメラ、コニカIIは1951年製の高級機であり、それに装着されていた50mm f2.8のレンズ(の一部)がヘリアー型である。その後のコニカIIIでもf2.4のヘリアー装着モデルがあったらしい。(ヘリアー型という資料は見つかりませんでした。)    そして1960年代からはコストダウンしたコニカSシリーズに移り、スペックの劣るヘリアー型は無くなる。

ちなみにコニカはその後ミノルタと合併し、さらに写真部門はソニーに移管した。つまり、ソニーのaとは血縁関係がある。

このヘリアー型レンズを、デジタルカメラ・ソニーaに装着して撮影してみたくなった。

コニカIIは高級機だが、ファインダーの素晴らしいコニカIIIほど人気はなく、程度の悪いジャンクならば安く手に入る。レンズは紛らわしいことに同じ50mm f2.8 でも3種類あるようだ。HEXANON銘はヘリアー型、HEXAR銘は紛らわしいことにヘリアー型と3群4枚のテッサー型が混在しているようである。見分け方はよくわからない。買ってからテッサー型もあることに気づき、LED光を反射させて1群目が貼り合わせレンズのヘリアーであることを確認した。(右側が1群目。表と裏の強い反射の間に、貼り合せ面の弱い反射がある。)

コニカIIは長いヘリコイドを使って、収納時のレンズの沈胴に使っていることが特徴である。このあと分解してデジカメ用に改造するのだが、長いヘリコイドを活かせば、最短撮影距離も短くできると考えた。

実際に分解してみると、レンジファインダー用50mmレンズにバックフォーカスの余裕は少なく、長いヘリコイドはソニー用Eマウントの邪魔になった。残念だけど糸鋸で切断し、フォーカスを調整することにした。

短くなったヘリコイドに直進キーを移植する。うまく収まったが、結果フォーカスストロークは短く、最短撮影距離はあまり短くならなかった。活かすはずだった長いヘリコイドの意味はなくなっているが、うまく改造は完成して自己満足は得られた…。


さあ撮影してみよう。



描写は周辺まで安定していて、固くない豊かな階調に思える。その一方、逆光ですぐフレアがかり、抜けはあまり良くない。コーティングが弱いためだろう、ちゃんとしたフードが必要だ。

開放f2.8だから、ボケは大きくないが、綺麗にぼける。微妙な非点収差(ぐるぐるボケ)を感じるときもある。










光源はコマ収差が発生している。オールドレンズと思えば少ない方とも思う。

戦後すぐ1950年のレンズだ。よく写るといえるが、もう少しヌケの良さは欲しい。レンズ後部にフレアカッター、前部にちゃんとしたフードを用意してみよう。


追記、ちゃんとしたフードを付けると、ヌケが良くなりました。マルチコート以前のレンズは、フードは必須ですね。


フィルター枠はないので、フードはかぶせ式のものを(中間リング改造で)制作しました。

レンズ後部のフレアカッターはもともと2枚入っていました。横着せずに2枚つけます。






フードの効果は絶大で、ヌケが良くなり、気持ちの良いコントラストです。

中間調も気持ちよく描写されて、ヘリアーらしい、クラシックで「豊かな描写」が感じられました。これなら良いレンズです。








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