贅沢なスローレンズ(+ティルト アダプターで撮る)、EL-NIKKOR 80mm f5.6N : The (slow) luxurious enlargement Lens.(and taken with the tilt adapter)

 6×7の中判をカバーする引き伸しレンズ、EL-NIKKOR 80mm f5.6Nで撮影してみる。

レンズ構成は広角レンズで使われることの多いオルソメタータイプ。周辺まで均一に高い解像力を持つのが特徴。その一方で球面収差があってf値は明るくできないらしい。(https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0064/index.htmlニッコール千夜一夜)

そのような理由で、開放f5.6である。引き伸しレンズは一般撮影用としても使えるが、f5.6というのはかなりのスローレンズだ。前玉径は24mmもあって、f3.5のレンズと同等。f5.6というのは、なかなか贅沢な作りなのである。


対象型の美しいレンズ構成だ。上記のニッコール千夜一夜によると、この対称系のひと組だけレンズの材質が違っているらしい。それが収差補正に効果的とのこと。奥が深い。
 さて、このレンズで撮影するには、フォーカスのためのヘリコイドアダプターが必要で、ソニーEマウントにつけるには56mm(以下)の長さにする。
L39→M42のアダプター、M42中間リングとヘリコイドリング、M42→Eマウントアダプターで装着している。ヘリコイドリングは内部反射があるので、内側にモルトプレーンを貼る。
レンズはテレフォト構成ではないので、80mmの焦点距離だけ鏡胴の長さがある。不恰好で気に入らないがコレで撮影してみる。
開放f5.6、右上を拡大してみる。
さすがの解像力。開放からカメラの2400万画素を超えている。まあ開放と言ってもf5.6だからね。描写はとても良く収差がない感じ。



f5.6なので大きくはボケない。少しうるさい感じがあるが、柔らかいので許容範囲。

でも6×7中判のイメージサークルがあるのに35mmフルサイズ分しか使わないのは勿体無い。レンズに悪い気がするので、イメージサークルの広さを活かしてスペシャルなティルトアダプターを3Dプリンターで作ってみよう。


ティルトはレンズを傾けて、焦点面を自在にコントロールできる。それを実現するためにレンズ中心から球面で自在に動かせるようにした。(傾けない時は磁石で固定できる)
これでとると、

斜めの面にフォーカスできる。手前から奥までフォーカスがあっている。

逆に傾けると、フォーカスの前後が急激にボケる。

少し前に流行った、ミニチュア風写真が撮れる。高いところから撮り下ろすと、なかなか楽しい遊びだ。


手前から奥までフォーカスが合わせられる。そんな写真を撮る必要があるならば便利。


EL-NIKKOR 80mm f5.6N。撮った感想は、なかなか贅沢なレンズである。
レンズ自体は小さいが、バックフォーカスは長くイメージサークルも広い。開放から無収差で均一な描写を見ていると、f5.6というスローさと合わせて、撮影することが贅沢な行為に感じられました。

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