美しい絵画のように写ります。そんなレンズとカメラを紹介します。
このレンズは、8mmシネマ用のレンズです。フィルムを使ったシネマ撮影では、暗いところでもスローシャッターやフラッシュは使えないので、明るいレンズが必要です。全盛期には、各社が力を入れて開発していました。
1973年製FUJINON 13mm は、「ろうそくでも写せる」ことを売りにしたフジカシングル8 AX-100のレンズで、 f1.1と極めて明るいことが特徴です。そのf1.1の写りを体験したくて、ジャンクなAX-100を購入、固定装着されたレンズを取り出しました。
カメラに固定されたレンズなので、バックフォーカスはかなり短く、ペンタックスQを使うか、専用カメラを改造するしかなさそうです。
チープな固定フォーカスデジカメを買って専用に改造します。電子シャッター専用のものがバックフォーカスを縮めるにはよさそうです。カメラはHITACHIの HDC HDC52K。キッチュ デザインで伝説?のカメラです。
これのレンズを外し、赤外線フィルターを移植してFUJINON13mmを装着することにします。改造することはそんなに難しいことではありませんが、レンズのバックフォーカスを調べるために分解を繰り返したら、デジカメのシャッタースイッチを壊してしまいました。
やれやれ、同じチープデジカメをまた買うことに。まったく何をやっているのか。2台目は色違いの508X。伝説のデザインではなくなってしまいましたが、恥ずかしくはなくなりました。2回目はスムーズです。フォーカスする鏡胴は3Dプリンターでつくって、良い感じ。なかなかかわいい。絞りはもともと前絞りなので、レンズキャップに穴をあけたようなもので絞りになります。f1.1だけでは昼間はとれないので、f2.8になる絞りも作りました。
撮影してみます。チープカメラなのでモニターがひどくて、外だと構図もよくわからないので苦労します。レンズは13mmですが明るくよくボケるので、フォーカスを合わせることはできます。
センサーサイズは1/2.5型なので、シングル8(4×5.8mm)と同じくらいのはずなのですが、70mmくらいの中望遠になりました。もともと8mmシネマのレンズは望遠気味なのでしょう。
開放で撮ると、近くのものは結構ちゃんと写りますが、遠景はフレアでシャープではありません。でもいい味がありますね。ひとつはボケが大変きれいなこと。13mmという短いレンズですが、f1.1の明るさはそこそこボケます。もう一つはチープデジカメの彩度の高さ。センサーの性能が低いのですぐに色は飽和するのですが、結果として絵画的です。
モニターがチープすぎて、撮影には苦労するのですが、この仕上がりは独特で魅力があります。
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