来なかった未来。MINOLTA VECTIS s-100 / V 22-80mm f4-5.6

ミノルタのAPS(フィルム)一眼レフ、VECTISのデザインは未来的だ。

ロボコップみたいなS-1もいいけど、廉価版だったS-100のデザインが良い。ファインダーがインテグレードされたデザインで塊感があって未来的。ちょっとぼてっとしたプロポーションだけど、後ろ側を黒くして、薄く見せている。そしてこれがカタチ優先ではなくて機能的なところがすごいのだ。

全体にコンパクトにできている。左手のグリップは、S-1に比べて小さいが、背面親指のグリップが工夫されていて、とても握りやすい。
上面がフラットなデザイン優先みたいなファインダーだけど、軽量なミラーとリレー光学系を使ったもので、ファインダー像が大きくてびっくりした。デジタルを含めてAPSサイズの一眼レフはファインダー像が小さくて見にくいものが多いが、これは見やすい。

こんないいデザインのカメラだが、APSフィルムと同じく、滅んできえさってしまった。

この未来デザインにつくレンズは、22-80mmの高倍率コンパクトな標準ズーム。ネットで見るとこれの評判もいい。すでに終わってしまった規格のレンズだが、どのように写るのだろうか。

さて、通常は簡単なマウントアダプターでEマウント化するのだが、こいつは簡単ではない。まず、絞りとフォーカス両方とも電気モーター式でマニュアル操作ができない。ヘリコイドアダプターにつけることを考えたが、欲しいストロークとマウント径/フランジバックがどうもうまくいかない。結局レンズのマウントを分解して、M42マウント化+ヘリコイドアダプターで改造してみることにした。








交換するM42マウント用パーツは3Dプリンターでつくってみた。パーツを付け替えることでM42マウント化、ヘリコイドアダプターと組み合わせてフォーカスするコンセプトだ。

これで、APSミラーレスにつければ、マニュアルフォーカスで問題なく使える。
でも今回はチャレンジして、フルサイズだとどこまでカバーできるか撮ってみよう。おなじAPSフィルム用のライバル、IXニッコール20-60mmは、24mmからフルサイズで使える。


では、ミノルタVレンズはどうだ?

フルサイズのa7につけてみて、なかなかコンパクトでいいバランスだ。絞りは操作できないので開放、フォーカスもヘリコイドアダプターによる全群繰り出しになる。本来とは違うフォーカシングだけど、写りを見てみよう。


まずは広角22mm。APSフィルムのイメージサークルなので、当然コーナーは蹴られる。写真では左右で偏心している。気を付けて作ったけれど難しいものだ。これで見ると、イメージサークルはAPSフィルムぎりぎりのようだ。フルサイズ比1.25だから28mmにすれば…

残念ながらまだ蹴られている。この微妙な蹴られは40mmでも残っている。ズーミングすればイメージサークルが大きくなるタイプのレンズではない。安心してフルサイズで使えるのは50mmくらいからになってしまう。





もともと寄れるレンズだったようだが、ヘリコイドアダプターのおかげで結構寄れる。
解像度はあまりないが、立体感があるのが好印象。

悪くはないんだけど、望遠で撮ったものを見ると、少し眠たい感じがする。解像もそれほどでもない。
このミノルタV22-80mm、開放だからかもしれないが、フルサイズだと隅の描写がいまいちだ。写りの質は悪くなさそうなので、APSカメラで撮ってみよう。

追記。APSデジカメ(NEX-5R)で「ひとつ絞って」撮ってみる。

沢庵用の漬物樽。沢庵づくりは練馬、板橋の重要産業だった。最近食べてないなあ。広角22mmで撮影。フォーカス面はシャープで抜けが良い描写。アウトフォーカス部は少し崩れ気味。



ズームしてクローズアップ。寄れるのは楽しい。シャープ写っている。


さて、このフィルムAPS用のMINOLTA V 22-80mm、APSでとればシャープで抜けの良い描写が楽しめる。ただボケは暴れるぎみ。コンパクトなのはとても良いが、描写はIX-NIKKOR 20-60mm(作例)のほうがいいかな。









































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