ニコンの水中カメラ、ニコノスは1963年の発売から2001年の終了までずっとWニッコール35mm f2.5を標準レンズとしていた。このレンズは、じつに38年間売られてきたことになる。(もっと言えばニコノス用のベースとなったレンズがあり、1952年発売だった。カメラという性能優先の世界で、50年間商品価値を保ち続けてきたことになる。)
ニコンの設計力のすばらしさとともに、写真用レンズというものがとてもユニークな工業製品であることもわかる。つまり、新しいものは常に古いものよりも優れているわけではない。
ニコノスはレンズ交換のできる水中カメラであり、その構造は独特だ。そのユニークさはレンズにも及んでいて、絞り、フォーカスが防水のしやすいノブ回転によるギア駆動になっている。
防水マウントも独特であり、マイナーなこともあってマウントアダプターの価格は高い。陸上で使えるレンズも数本しかなく、安く買ったレンズに、高価なアダプターをわざわざ買うのも何なので、オリジナルで製作した。それをソニーa7に装着してみる。
やっぱりこのレンズ、左右に生えたノブがかわいい。銀色のノブを回してフォーカス。黒いノブは絞り。注目ポイントとしては、フォーカス目測式カメラには重要な被写界深度が、面白いギミックで、レンズ前面に表示される。
レンズ構成は4群6枚の典型的なガウスタイプ。ニッコール千夜一夜のサイトでレンズ構成図を見ると、頑丈そうな防水フィルターが目を引く。さてどのように写るのだろうか。
https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0008/index.htmlでは近景はどうか。もともとの最短撮影距離は0.8m。寄れないと面白くないので、マウントアダプターは、寄れるヘリコイドタイプにした。設計値よりも寄っているわけで、しかも開放f2.5。画質が悪くてもしょうがないが、そこそこ写っている。
ボケはけっこう荒れる。でも左右で荒れ方が違うのはマウントアダプターの加工精度かも。
このレンズ、さすが50年間、現役を張っただけのことはあって、発色も良くシャープに写る。特徴としては被写界深度が深く、フォーカスの合う範囲は広い。
広角なので、ボケ味はあまり問題にならないが、ヘリコイドアダプターで寄ると、中間域がグルグルするなど、変に暴れる傾向がある。
さて、ニコノス用ニッコール35mm、絞って遠景を撮るには完ぺきに写る。ボケはまさにオールドレンズ、使いこなし方しだい、というところでしょうか。
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