まるで天体望遠鏡、極めてシンプルな望遠レンズ。tamron 200mm f5.9

 天体望遠鏡のレンズは、色収差を補正した色消しレンズ1群2枚でできている。焦点距離が長く画角が狭い、f値が大きい、という特徴から1群2枚のレンズで性能が出せる。カメラ用のレンズもそれでいいのではないかとも思うが、実際に画角が狭い望遠レンズに適用しようと思うと、f値がくらく、焦点距離と同じ長さが必要で、長大なレンズ寸法が問題になる。

そこで今回のオールドレンズ、タムロン200mmf5.9である。天体望遠鏡と同じような構成で、レンズまでセンサー面から200mm。画角の狭さ、f値の大きさ、取りまわせる長さ、妥協点を探った結果なのだろう。ぎりぎり成り立つバランスでデザインされている。













1963年の発売、張り合わせの色消しレンズ、絞りの後ろに平面ガラスのフィルターを組み合わせたシンプル、ミニマムな構成。カタログでは2群3枚と見栄を張っているが、実質1群2枚ではないか。



当時定価6,000円で最も安かった望遠レンズでもある。f値は5.9で、レンズは小さい。周辺部の画像悪化につながるコマ収差はf6から目立ってくるらしいので(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/コマ収差)このf値がバランスするポイントなのだろう。



見た目の第一印象は良くない。妙に細長く、フォーカス/絞りリングが先の方についている。内部構造に合理的な配置だけど、鏡筒の手前側が「間が抜けている」。もっともタムロンだけの手抜きというわけでもなく、f値の暗い細長系望遠レンズはデザインが難しく、かっこ悪くなりやすい。

マウントアダプタを介してソニーa7に装着。ますます細長くなったが、280gと軽量のため取り回しは良い。望遠は慣れないが、何を撮ろうか。鳥かな。









カモはいいですね。きれいだし、あまり動かないからオールドレンズ/マニュアルフォーカスでも問題ない。見ていて楽しい。
f8にすこし絞っているが、とても良く写っている。シャープで立体感がある。無理をしないレンズ構成とスペックに勝るものはないのではないか、とも思う。



カラスもいいですね。見ていると愛嬌があっておもしろい。欠点は黒つぶれしやすいこと。


後ボケは少し暴れるときもあるが、なかなかきれいだ。いっぽう前ボケは汚い。そういう球面収差なのだろう。



残念ながら最短撮影距離は2.5mと遠い。ヘリコイドアダプターを使って花を撮ってみる。

シャープさは落ちるが、ボケはいい感じだ。


撮ってみて、フルサイズ200mmっていいですね。フィルム時代は使いこなせなかったですが、デジタルミラーレスになって使いやすくなりました。昼間ならばレンズの暗さも気にならず、本格望遠の面白さを手持ちで使える。

今回のレンズセレクトは、キヤノンから新しく出た600mmf11の絞り無しレンズを見て、手振れ補正もオートフォーカスも無くても、200mmの暗い軽い安いレンズは同じくらい楽しいだろう、と感じたことから始まりました。

このクラスのレンズは極めて安価で、手に入れやすいです。そして、軽量な200mmを付けて散歩するのは楽しく、ずーっと苦手だった望遠に目覚めた感覚です。







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