smc PENTAX-F FISH-EYE 1:3.5-4.5 17-28mm
とてもユニークなレンズだ。あまりにユニークなので、1994年製の安っぽいこのレンズをここで取り上げたい。
ユニークなポイント。
1.まず、魚眼レンズであること。ぐにゃりと世界が曲がり、前方180度すべてが写る。
2.それがズームできること。世界初の魚眼ズームレンズなのだ。
3.そこそこの値段だったのに、超安っぽいデザイン。なんと当時いちばん安かったキットレンズ35-80のパーツを流用しているのだ。
魚眼と標準ズームが同じパーツでできている?!そんなことができるのか?
まず1,2について
魚眼は特殊なレンズだが、考えようによっては変ではない。世界は自分を中心にまーるく広がっている。球を平面に直すのは難しい。
普通レンズは地図のメルカトル図法みたいに四角いものを四角く描く。画角が狭ければ違和感がないが、広角になるにしたがって周辺部が引き伸ばされてビヨーンとなる。
メルカトル図法の極地と同じだ。
一方魚眼レンズはモルワイデ図法だ。画角が広がっても、周辺部は引き伸ばされないがぐにょりと曲がる。
ただモルワイデ図法も画角が狭ければ違和感ないはずだ。
魚眼レンズが変なのは、周辺がゆがむことではなくて、画角が広すぎるからではないだろうか。この辺がズームならば実験体感できるのだ。
例えば人間の目は、眼球を動かさなければ普通のレンズのように見えるが、周辺部はボケている。
眼球を動かして見ると視野は広がり 周辺部はくっきり見えるが、目の動きに合わせて魚眼のように曲がって見える。
だからズームしてそこそこの視野で使えば、違和感なく魚眼が使えるんじゃないかとおもう。
ユニークポイント3、安っぽいデザイン。
格下のレンズのパーツを流用した超安っぽいデザイン。多分これが世界初の魚眼ズームが実現できたポイントなのだろう。
世界初だからニーズがあるかどうかもわからない。いくらユニークなペンタックスだって、ユニークなだけでは潤滑な開発費はでないだろう。
それで金型費のかかる部分を発売済みのレンズに(無理やり)適合させて成り立たせたのだとおもう。
当然それによる欠点もあって、最短撮影距離が長くなってしまった。28㎜では45㎝で遠いのだが、17㎜の時はもっと全然寄れない。
なんと2m以下にはピントが合わない。絞り込んでごまかすしかない。ズームするとピント位置が大きく変わるバリフォーカルレンズのようだ。
訂正:これはマウントアダプターの長さがわずかに足りなかった(オーバーインフ)からです。お詫び申し上げます。短焦点だと微妙な違いが大きくでます。
訂正:これはマウントアダプターの長さがわずかに足りなかった(オーバーインフ)からです。お詫び申し上げます。短焦点だと微妙な違いが大きくでます。
それでも、世界初の魚眼ズームがリーズナブルに実現できたことはすごいと思う。開発スタッフの馬力を感じる。
といったところにグッときて、20年前のガタのきた安っぽーいレンズを手に入れたのだ。
魚眼で近距離が撮れないと困るので、クローズフォーカスアダプターをかましてA7に装着した。
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