35mmフィルムを半分にして使うハーフサイズカメラは、1959年にオリンパスPENが大ヒット、ライバル各社も追従して、1960年代の大ブームになった。
大手カメラメーカーだったヤシカは、1961年からハーフサイズカメラを展開していたが、
1964年に大口径レンズ/プログラム自動露出を備えた高機能なYASHICA HALF 17を発売、これもヒットした。特徴はカメラ名にもなったf1.7の大口径レンズ。ライバルであるオリンパスの高機能モデルはf1.9のレンズだった(作例)
その後、高機能を強調するために モデル名に「デラックス」を追加した。
1966年にはさらに大口径f1.4レンズのYASHICA HALF 14(作例)を出してライバルを突き放すが、この頃からハーフサイズカメラのブームは下火になってる。
そんなYASHICA HALF 17 不動ジャンクカメラを手に入れた。
レンズの周りに配置されたセレン光電池のバランスが良く、丸っこいデザインが可愛い。
カメラの上部カバーが丸っこく、キラキラと光っているのがチャームポイントだ。
理由があって、硬いステンレスをプレスしているので丸くならざるを得ない。そのステンレスの輝きと丸さが宇宙的な未来感を演出している。
GKデザインの傑作である。
可愛いけどジャンク不動、でもレンズはクリアだ。
どんな写りか楽しみなので、改造してしまいましょう。
YASHINON 3.2cm f1.7
レンズは名門、富岡光学製らしい。ガウスタイプで4群6枚構成。プログラム露出のレンズシャッターが絞り兼用。2枚絞りなので歪な形が気になる。
コンパクトカメラは最短撮影距離の長さも弱点だ。このHALF 17も0.8mもある。短く改造しないと楽しめない。
いつもはフォーカスはヘリコイド中間リングをつかう改造にするが、32mmだとバックフォーカスが短く、そのスペースがない。
オリジナルのヘリコイドを改造して、回転角を増やそう。
オリジナルヘリコイドを活かしたレンズ改造では、ポイントが2つある。
1つは板状のレンズボードの切断とマウント装着。
古いコンパクトカメラのレンズは、レンズボードに乗っている。そのボードを切断してデジタル用のマウントをつける。
今回のボードは真鍮製で切断しやすいうえに、φ41.5の円形状の形状があり、それを活かして簡単にEマウントを装着できた。
2つ目が最短撮影距離の短縮。今回はヘリコイドストッパー位置を調節して直線キーのストローク限界0.4mまで短縮した。無限遠調整と合わせて、手間のかかる作業だが、これをしないと楽しく撮影できない。
今回はオリジナルデザインを活かした改造レンズになった。かっこいいのではないでしょうか。
さあ、撮影してみよう。
富岡光学製(たぶん)ガウスタイプのレンズ、どんな写りでしょうか。
開放f1.7 フレアがありつつ、周辺まで解像している。楽しそうなレンズだ。
開放f1.7 ボケは強烈な2線ボケ、バブルボケである。
絞りの形は歪んだ菱形になるので、中途半端に絞るとボケは悪い。ボカすなら絞りは開放がいい。
良質なクラシックレンズです。
APSサイズデジタルでは、焦点距離 32mmは標準レンズで使いやすい。
開放f1.7では柔らかいながらも、ちゃんと画面全体が良い描写をします。被写界深度も浅く、前後のボケも充分に楽しめます。
今回の改造もソニーEマウントにしています。分解は容易で、レンズボードを糸鋸切断して、M42-Eマウントアダプターに接着しました。この作業は順調でした。
一方、絞りを活かしたレンズシャッターの開放化と、最短撮影距離を短縮しつつ無限遠調整をするのは試行錯誤でしたが、それも楽しい工作です。
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