いまから70年以上昔のカメラは、複雑な機械の大量生産が難しかったため、シンプルな構造を持っていた。シンプルな「箱」ボックスカメラ、それをコンパクトな折りたたみにしたスプリングカメラ、ファインダー用レンズをもう一つ持つ2眼レフカメラ。
今回取り上げるのはスプリングカメラ。戦後すぐ、1948年製のオリンパスクロームシックスII 。
自慢の大口径レンズZUIKO7.5cm f2.8(3群4枚テッサー構成)とそれに組み込まれたコパル製レンズシャッターが主な機構で、ボディの方はただの箱、ファインダーも簡素。フォーカスも前玉回転、目測でシンプル簡単構造だ。(当時のカメラが全てそうだったわけではない。ライバルのマミヤ6は距離計連動ファインダーに全群繰り出しフォーカスであり、オリンパスに対して圧倒的に高性能だ。)
シンプルなオリンパスだが、ズイコーレンズは高性能で評判だったらしい。そのレンズをデジタル撮影してみようとおもう。
簡単構造なので、ボディ裏側から留めリングを外せば、レンズユニットはポロリと取れる。取れたら掃除。実は古いズイコーはここに問題がある。
結構きれいに見えたレンズだが、一番うしろ側がすこし「白ヤケ」していた。白ヤケというのはレンズの曇りで、ガラスと湿気と二酸化炭素による化学反応で変質してしまう。こうなるともうクリアな状態にすることはできない。オールドレンズの致命傷で、なぜかズイコーに多いのだ。レンズ設計は何種類かの光学ガラスを組み合わせるが、高性能で評判だったオリンパス・ズイコー設計で多用する光学ガラスが、残念ながら白ヤケしやすい素材だったのだろう。
3Dプリンターを駆使して、アダプターを制作。レンズシャッターは途中で固定できるストッパーを装着。シャッターは開いた状態になっている。
問題の、白ヤケによるクモリ。クリアーにはできないので、どのくらい影響がでるのか。
白ヤケはすこしだったので、計画通りSONY a7用にEマウント化する。
フォーカス用にm42マウントのヘリコイドアダプターを使い、レンズとm42マウントをつなぐアダプターを自作する。
オリンパスシックスは6×6判なので35mmフルサイズの4倍近いイメージサークルがある。
それを活かすためにチルトのできるアダプターをつくることにした。うまくいけばf2.8の大口径を活かした(ミニチュア風などの)ボケ写真を撮ることができる。
3Dプリンターでつくったティルトアダプター。レンズが重いので、思ったよりも固定しにくいが、問題なく遊べそう。
問題の、白ヤケによるクモリ。クリアーにはできないので、どのくらい影響がでるのか。
まあ、撮ってみよう!
クモリの影響はあり、やはりハイライトは滲む。逆光では白っぽくなりそうだ。
チルトを使って、周辺を無理やりボケさせる。視線がボートに誘導される。
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