前回取り上げた70年前のオリンパス クロームシックス のZUIKO 75mm f2.8、3群4枚のテッサー構成だが、微妙なレンズの曇りの影響で写りがしゃきっとせず、残念な気分だった。
絞りの後ろ側のレンズ表面の薄い曇りだったので、無水アルコール、酸素系漂白剤をメラニンスポンジにつけてこすったが落ちない。これはレンズの白ヤケと判断し、落ちないので諦めようと考えたのだが、つい「セリウム」が気になってしまった。
酸化セリウムはレンズの研磨剤で、レンズ加工の仕上げにも使われる。仕上げ研磨には高精度が必要で、専用の設備で計測しながらおこなう。でも曇り取りで、表面を極薄くちょっと研磨するだけなら、簡単にやっても大丈夫かも。
購入した、仕上げ研磨用の酸化セリウムの細かな粉末を水に溶く。レンズを分解して、曇ったレンズを取り出す。これを酸化セリウムを含ませたメラニンスポンジで、均一に磨いていく。
研磨しすぎるとレンズ曲面が変わってしまうので、早めに切り上げる。様子を見ながら5分くらいで終了。さすがセリウム、ちょい曇りのレンズがけっこうクリアになりました。
曇りが取れるとそれ以外レンズも曇っていることに気がつく。これらも分解して、無水アルコールでそこそこきれいになった。
これが磨く前。薄ぐもりだが、写りにけっこう影響していた。
下にセリウムで磨く前の隅拡大を比較する。
前撮ったときと光線が違うので比較しにくいが、解像はほぼ同じで、コントラストがクリアになっている。曇りとりは成功したと言えるでしょう。チルトアダプターは面白いが、前に遊んだEL-NIKKOR 80mmよりも画質は悪い。明るい分ボケやすくていいと思ったが、チルトするとイメージサークル周辺部を使うことになるため、画質の差はある。70年前、戦後すぐに生産されたレンズを、超高画質のEL−NIKKORと比べることが申し訳ない。それにセリウムも使ったし…。
これは味のある絵を楽しむのがいいですね。
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