TIARA ix は1998年発売のAPSフィルム版になる。
1998年に、ほぼ同じ仕様で2機種を発売していている。EPION 1000 MRC TIARA ixはプラスチックボディにチタン化粧カバーで日本製。EPION 1010 MRC TIARA ixは同じくプラスチックボディにプラスチックとアルミ合金の化粧カバーでインドネシア製。
価格はチタンを使った1000の方が高いが、レンズやメカニズムは同じらしい。
当時、チタン製高級コンパクトカメラ、という流行があり、それに乗った企画だと思う。しかしチタン加工は難しく、コストの高い日本でしか生産できなかった。それで検討した結果、化粧違いの2機種展開になったのだろう。
これは安い方の1010 Tiara ixなのでカバーはプラスチック製。横にスライドさせるとスイッチが入り、レンズが繰り出される。フィルム交換時にはカバーを外す必要がある。ちょっとコツがいるので、この操作はメカ好きで無いと難しいかも。カプセル2重構造はローライ110に似ている。(ローライはレンズ繰り出しからフィルム巻き上げまで、スライドカバーによるカラクリメカニズムで連動していた。)
ローライのようなメカ仕掛けはないが、スライドカバーを開けた時のメカっぽいデザインは魅力的。
SUPER EBC FUJINON 24mm f3.5
レンズの性能はどうなのだろう。
レンズ構成図は写真工業1998年9月号よりトレース
名前はスーパーだ。
だけどSUPER EBCはレンズのマルチコーティング名なので、それほどの機能ではない。レンズ構成は3群3枚のトリプレット型。レンズのコバ面で3枚のレンズが接触していて、組み立て精度を確保している。35mmフィルム版とは違い、非球面レンズではない。スペックでは「安い」レンズだが、高屈折低分散ガラスをつかっている。
カメラは高級コンパクト。はたして写りは、安いカメラと差別化できているのか。
APSフィルムはもう手に入らないが、現代のAPSデジタルとだいたい同じフォーマットサイズ。デジタル用に改造する。
カバーをはずせば、普通のプラスチックカメラ。サイズはとても小さい。TIARA ixは、APSフィルムカメラでは世界最小だ。
https://asset.fujifilm.com/www/jp/files/2019-09/b4bd371197bec8774cd3c0cde7ef98c6/rd_report_ff_rd048_003.pdf
レンズユニットを外す。レンズ構成は3群3枚のトリプレット。絞りは後ろ側に、ビハインド レイアウトである。
2枚絞りで形は良くない。ビハインドレイアウトなので、自作してしまおう。
鏡胴と絞りは3Dプリンターで製作。絞りは開放とf6.3くらいの2通り。前側からレバーで絞りを変えられる。
フォーカスはM42ヘリコイドリング(10~15.5mm+Eマウントアダプター)でおこなう。
コンパクトなお散歩用レンズが完成。さて、写りは?
絞り開放f3.5f6.3に絞ると、隅まできっちり写る。
樽型の歪曲。
デジタル相性の問題があり、隅は少し色かぶりをする。
とはいえ、良くまとまったトリプレットレンズですので、「悪くない」印象でした。
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