HEXANON 38mm f1.8 (KONICA AUTO SE/C35 FD)気楽で奥深いスナップレンズ A casual yet deeply captivating snap-and-shoot lens



 1968年から70年代、コニカC35シリーズは気軽に撮れるコンセプトでコンパクトカメラの大ベストセラーだった。

1973年にシリーズ上位機種、KONICA C35 FD が発売。通常のf2.8よりも明るい38mm f1.8 レンズを搭載した。

簡単操作が売りのC35の中で、シャッター優先など、露出操作できる唯一の機種だった。レンズ描写の評判も高く、C35 FDは現在でも中古の価格が高い。

前回C35初代のレンズを使って、シャープなキレの良さを気に入った。FDの大口径レンズも体験したいが、安いジャンクはなかなか見つからない。ということで、、、




KONICA AUTO SE 
その少し前、1966年発売のカメラがある。故障が多く失敗といわれるカメラで、流通は少ないが壊れたジャンクが安く手に入る。このレンズが HEXANON 38mm f1.8 で KONICA C35 FDと同じレンズのようだ。このレンズを改造しよう。


故障の原因は、初期の自動露出セイコー製シャッターだと思うが、それ以外にもファインダーやいろいろ問題があるジャンクだ。これからレンズを外して改造する。


レンズシャッター機の分解は、後ろから。

後部レンズユニットを外せば、レンズをヘリコイドに固定している25mmのリングナットがはずせる。これでレンズはポロリと取れる。

やりにくい時は貼り革をめくってレンズボードを外す。そしてレンズボードの後ろから分解するのが簡単だ。

セイコーESシャッターは絞り兼用で、閉じた状態。これをがんばって開放化すれば、フィルム感度設定リングで絞りを操作できる。


ガウスタイプのレンズ構成なので、焦点距離38mmでもフランジバックには余裕がある。

もともとのフォーカスヘリコイドは外したので、M42マウントのヘリコイドアダプターを使う。間をつなぐパーツは3dプリンターで造る。

全長11mmのヘリコイドアダプターを介してソニーEマウントに装着できた。






HEXANON 38mm f1.8


ちょっとしたフードが内蔵されている。内部反射の多いオールドレンズには効果がありそうだ。

ヘリコイドアダプターでフォーカスするので最短撮影距離が短くできる。5mmのストロークで30cmくらいまで寄れる。

絞りの操作は感度設定リングで行えるが、f 値は分からない。直接、見て確認する。

絞り操作は重くなってしまって、押さえながらでないとスクリューマウントが外れてしまう、、、、これは改良の余地がある。


さあ撮影。まずはf1.8開放で撮ってみよう。

遠景で開放、一眼レフ用レンズみたいに良く写る。大口径f1.8なのにシャープ、ハイライトは少し滲む。




下は中心の拡大。ボケは見事なリングボケ。解像重視の「過剰補正型」なのでしょう。
色収差は少しあるけど、あまり気にならないかな。





開放のボケは少しグルグルもして個性的。シャープな「花桃の果実」との対比は、ちょっと不思議な世界を描く。




絞っても、ボケのうるささはあまり変わらない感じだが、フォーカス部はさらにシャープになる。









1966年発売のオールドレンズ。コーティング性能は低い。組み込みの短いフードは効いているが、正面の逆光には弱い。










ヘキサノン38mm f1.8は、大口径でもシャープですっきりと写る良いレンズです。
KONICA AUTO SEのレンズはコーティング性能の低いオールドレンズなので、逆光には弱いです。その後、1970年ごろにコーティング性能は飛躍的に向上しました。
1973年発売のKONICA C35 FDのレンズはコーティングがよくなっていると思います。

準広角38mmは気軽なスナップショットに向いていて、大口径 f1.8のボケを活かそうとするとちょっと難しい。でも、うるさいけどクリアなリングボケの世界は、きれいで個性的な魅力があります。

気楽に撮れるけど、活かそうとすると難しくて奥深い。面白いレンズでした。










 

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