コダックはフィルム、カメラメーカーなだけでなく、優れたレンズメーカーでもあった。特に20世紀中盤においては、高性能光学ガラスの製造でも世界をリードしていた。
コダックのレンズはEKTARが有名だ。
EKTARは、Eastman Kodak の高性能Tessarタイプレンズとして登場した。ところがTessar銘はツアイスの登録商標だから使えない。それでE(astman) K(odak) T(ess)ARとネーミングした。EKTARはその後、コダックの最高性能のレンズに付けられるようになった。
調べてみるとコダックレンズのクオリティは、
EKTAR>EKTANAR>EKTANON>KODARの順番だ。このヒエラルキー外にはEKTONグレードもあって、これはコダックではない社外設計の高性能レンズのようだ。
今回のKODAK ADVANtiX f300のレンズは、EKTANAR 23mm f6.6だ。
EKTANARはコダックのセカンドグレードである。ファーストのEKTARは特別だったので、EKTANARでも期待できる。
このADVANtiX f300(f1600も同じもの)の発売は1998年で、コダックのAPSフィルム展開の第2世代カメラ。シリーズでは普及モデルになる。
フラッシュ付き自動巻き上げの電気カメラだが、中身は固定焦点/固定露出、トイカメラのスペックだ。簡易な機構でフィルムは小さなAPS。これで「写ルンです」以上の写真は撮れたのだろうか?
キモとなるのはやはりレンズ。EKTANAR23mm f6.6は3群3枚、ガラス製レンズのトリプレット構成である。3枚のレンズは間に絞りを挟みながら1つにユニット化されている。固定焦点のため、深い被写界深度が必要だ。固定絞りでf6.6まで絞ってある。
ユニットを収まる鏡胴を3dプリンターで制作して、ヘリコイドアダプターを組み合わせる。絞りはオリジナルのままf6.6固定、フォーカスはヘリコイドアダプターを使い、クローズアップまで寄ることができる。
レンズはヘリコイドアダプターの中に収まる。前レンズ面が奥まったシンプルな佇まい。
古いAPSデジタルに付けて散歩しよう。
描写は中心部はシャープで、周辺に向かって色収差が少し気になるようになる。画面右側は、残念なことに片ボケしている。
デジタル相性の影響で、周辺は軽く色かぶりがある。ただ程度は軽いので最新のデジカメなら色かぶりはでないかもしれない。
もともと固定焦点、パンフォーカスのレンズのため、メリハリよりも中庸さを求めた描写のようです。改造ではフォーカスできるようにして撮影、中距離ではまあまあでしたが個性の少ない印象でした。
メリハリのあるトリプレットらしさや、コダックらしい立体感を期待したのですが、普及機についたEKTANAR、セカンドグレードレンズは描写はそれなり、ということのようです。
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